崔

崔（さい、チェ、ツイ）

崔は、東アジアに広く分布する姓です。中国、朝鮮半島、日本において、それぞれ異なる歴史と文化を持つ人々によって受け継がれてきました。

中国の崔氏

中国における崔氏は、炎帝神農を祖とする由緒ある姓です。その起源は、周の時代に太公望呂尚の子孫が、斉の国で崔邑に隠棲したことに始まります。斉の有力氏族として繁栄しましたが、後に没落し、各地へ散らばりました。秦の統一後、子孫の崔意如が東萊侯に封じられ、漢代にはその子孫が清河崔氏と博陵崔氏という二つの名門氏族を形成しました。

これらの氏族は、魏晋南北朝時代から隋唐時代にかけて門閥貴族として繁栄し、唐代には29名もの宰相を輩出しました。しかし、五代十国の戦乱の中で経済的基盤を失い、次第に没落していきました。

唐代には、清河、博陵を中心に、鄭州、鄢陵など各地に分かれ、多くの分流を生み出しました。また、朝鮮半島の忠州崔氏、全州崔氏も清河崔氏の出自であるとされています。

中国では、2020年の国勢調査によると、538.61万人が崔姓を名乗り、55番目に多い姓となっています。

中国の著名な人物

崔杼：春秋時代の斉の政治家
崔宏：前燕から北魏にかけての官僚
崔琰：三国時代の武将
崔浩：北魏の宰相
崔顥：唐の詩人
崔健：中華人民共和国の歌手
崔世安：マカオの政治家
崔天凱：中華人民共和国の外交官
崔永元：元中国中央テレビのニュースキャスター
崔琦：ノーベル物理学賞受賞者
レイモンド・ツイ（崔頌堯）：アメリカのコラムニスト

朝鮮の崔氏

朝鮮半島における崔氏は、金、李、朴、鄭と並ぶ五大姓の一つであり、非常に多くの人々がこの姓を名乗っています。2015年の韓国での調査では、233万人が崔姓を名乗っているとされています。

朝鮮の崔氏は、俗説で「頑固な人たち」というステレオタイプで見なされることがあります。これは、高麗の将軍・崔瑩の辞世の句「崔氏の座った席には草も出ない」に由来すると言われています。また、姜姓、安姓とともに「안강최」というグループで呼ばれることもあります。

崔氏は、高麗時代に武臣政権を樹立した崔忠献をはじめ、多くの歴史上の人物を輩出しました。

朝鮮の著名な人物

崔致遠：新羅末期の文人
崔忠献：高麗の武臣、武臣政権指導者
崔瑩：高麗末期の武臣
崔済愚：朝鮮末期の宗教家、東学創始者
崔益鉉：朝鮮末期の儒学者、政治家
崔南善：朝鮮の詩人、歴史家、政治家
崔圭夏：韓国の政治家、大統領
崔庸健：朝鮮民主主義人民共和国の軍人、政治家
崔善姫：朝鮮民主主義人民共和国の官僚、政治家
崔銀姫：韓国の女優
チェ・ミンス：韓国の俳優
チェ・ミンシク：韓国の俳優
チェ・ジウ：韓国の女優
チェ・ジンシル：韓国の女優
チェ・ホンマン：韓国の格闘家
崔龍洙：韓国のサッカー選手
崔順実：韓国の実業家
ヴィクトル・ツォイ：ソビエト連邦の歌手
崔珉豪：韓国のグループSHINeeのメンバー
T.O.P：韓国のグループBIGBANGのメンバー
レン：韓国のグループNU'ESTのメンバー
S.COUPS：韓国のグループSEVENTEENのメンバー
YEONJUN：韓国のグループTOMORROW X TOGETHER|TOMORROW_X_TOGETHERのメンバー
SOOBIN：韓国のグループTOMORROW X TOGETHER|TOMORROW_X_TOGETHERのメンバー
BEOMGYU：韓国のグループTOMORROW X TOGETHER|TOMORROW_X_TOGETHERのメンバー
チェ・ヒョンソク：韓国のグループTREASURE のメンバー
チェ・ジス：韓国のアイドルグループITZYのメンバー

日本の崔氏

日本における崔氏は、中国や朝鮮半島からの帰化によって生まれた姓です。特に薩摩（現在の鹿児島県）の崔氏は、高麗から帰化した一族であるとされています。

日本の著名な人物

崔倍達（大山倍達）：在日韓国人の空手家、極真空手創始者
崔洋一：在日韓国人の映画監督
崔真淑：エコノミスト

関連項目

「崔」で始まるページの一覧
「チェ・」で始まるページの一覧
ツォイ

もう一度検索