小俣神社

小俣神社：宮川西岸に鎮座する歴史深い外宮の摂社

三重県伊勢市小俣町元町に鎮座する小俣神社は、伊勢神宮豊受大神宮（外宮）の摂社です。外宮の摂社16社のうち、唯一宮川西岸に位置する特別な神社であり、その歴史と信仰は古くから地域に根付いています。

神々への祈りと地域との繋がり

小俣神社の祭神は宇賀御魂神（うかのみたまのかみ）。伊弉諾尊（いざなぎのみこと）と伊弉冉尊（いざなみのみこと）の御子神であり、五穀豊穣を司る重要な神様として信仰を集めています。そのため、地元住民からは五穀豊穣の恵みに感謝し、氏神として大切に崇敬されています。

地域住民は、小俣神社を「いなべの社」や「稲女（いなめ）さん」と呼び親しみを込めています。これは、祭神である宇賀御魂神に由来する愛称であり、古くからの信仰の深さを物語っています。氏神祭の際には、多くの地元住民が参拝に訪れ、神様への祈りと地域社会の絆を確認する機会となっています。

歴史と変遷：古代から現代へ

小俣神社の歴史は古く、『延喜式神名帳』に記載されていることから、少なくとも延長5年（927年）以前の創建と推測されます。『止由気宮儀式帳』にも記されているため、延暦23年（804年）以前から存在していた可能性が高いです。古代においては、伊勢神宮と深い繋がりを持ち、祈年祭や神嘗祭には伊勢国司から幣帛（へいはく）が奉られました。しかし、中世末期以降は記録が途絶え、一時「八王子」と呼ばれる産土神として信仰されていました。

寛文3年（1663年）、現在の社地で再興されました。既に八王子神社が存在していたため、並立する形で祀られることとなりました。明治時代には、境内地の管理を巡り神宮側と村側との間で論争が起こり、境内を二等分することで決着を見ました。その後、八王子神社は官舎神社に合祀されましたが、小俣神社東隣には、八王子神社の本殿・拝殿などが残され、現在も地域住民によって大切に守られています。

建造物と境内

小俣神社の社殿は神明造りで、玉垣に囲まれた厳かな空間が広がっています。境内は石垣で囲まれ、整然とした佇まいを見せています。また、神宮式年遷宮の対象となっているため、20年に一度社殿が建て替えられ、常に新しい社殿が維持されています。賽銭箱は設置されておらず、信仰の深さが静かに感じられる空間です。境内の面積は約1,100㎡と、地域に溶け込んだ落ち着いた規模となっています。

アクセス

小俣神社は、かつての伊勢参宮街道の宿場町であった小俣町元町の集落内に位置しています。西光寺や八柱神社といった歴史的な建造物と隣接しており、歴史を感じさせる立地にあります。

公共交通機関
近鉄山田線 小俣駅より南南西へ約1km
参宮線（JR東海）宮川駅より東南東へ約700m
三重交通バス宮古橋バス停より徒歩約4分
自家用車
伊勢自動車道伊勢西ICより約13分

小俣神社は、歴史と信仰が深く根付いた、静かで落ち着いた雰囲気の神社です。伊勢神宮との深い繋がりを持ちながら、地域住民に愛される姿は、長い歴史の中で培われてきたものと言えるでしょう。訪れる際には、その歴史と雰囲気に思いを馳せてみてください。

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