結城朝光

結城朝光（ゆうき ともみつ）

結城朝光は、平安時代末期から鎌倉時代中期にかけて活躍した武将であり、有力御家人です。下総結城氏の初代当主として知られています。書物によっては小山朝光と記されていることもありますが、結城家の家祖であることから、結城朝光の名で広く知られています。

生涯

仁安3年（1168年）、鎮守府将軍・藤原秀郷を祖とする下野国小山の豪族・小山政光の三男として生まれました。母は源頼朝の乳母である八田宗綱の娘・寒河尼です。

治承4年（1180年）、平氏打倒に挙兵した頼朝に、母・寒河尼の引き合わせで臣従し、頼朝が烏帽子親となって元服しました。養和元年（1181年）には、頼朝の寝所を警護する11名の中に選ばれるなど、早くから頼朝の側近として活躍しました。寿永2年（1183年）、志田義広と足利忠綱の連合軍との戦いでは、頼朝が戦勝祈願をした際、御剣役を務め、義広の敗北を予言したとされています。この御剣役は『吾妻鏡』に10回と記録されており、御家人の中で最多です。

論功行賞で結城郡の地頭職に任命され、元暦元年（1184年）には木曾義仲追討、その後平氏追討にも参加し、宇治川の戦いや壇ノ浦の戦いで活躍しました。鎌倉帰還後には、東下した義経に対し、頼朝の使者として鎌倉入りを拒否する口上を伝えるなど、重要な役割を担いました。

文治3年（1187年）には、畠山重忠の処分について頼朝に意見し、その危機を救いました。文治5年（1189年）の奥州合戦では、敵将・金剛別当秀綱を討ち取るなど大きな功績を挙げ、奥州白河三郡を与えられました。また、建久6年（1195年）には、東大寺再建の供養の場で乱闘が起きた際、見事な調停を行い、その容貌と弁舌が称賛されました。

頼朝没後、梶原景時の讒訴により窮地に立たされた際には、三浦義村ら有力御家人と連名で「景時糾弾訴状」を提出し、景時失脚に貢献しました。承久3年（1221年）の承久の乱にも東山道軍の将として参戦し、乱後には上野介に叙任され、幕府の評定衆の一員となりました。

晩年は法然や親鸞に深く帰依し、出家して結城上野入道日阿と号しました。結城称名寺を建立し、信仰に生きました。宝治合戦で知己の三浦泰村一族が滅亡した際には、執権・時頼に涙ながらに意見するなど、その人柄が窺えます。建長6年（1254年）、87歳で死去しました。

人物

朝光は頼朝の側近として幕政に参与し、弓術に長け、和歌にも通じた文武両道の人物として知られています。しかし、尊敬していた畠山重忠の死後は、つつましい生活を送るようになり、政治の表舞台に積極的に出ることは少なかったと言われています。この姿勢が、梶原景時の変における御家人の動向や、晩年の北条氏からの厚遇に繋がったと考えられています。

一方で、朝光は非常に誇り高い性格で、足利氏と対立したこともあります。足利氏からの書簡で自らを格下と扱われたことに激怒し、幕府に訴え、最終的には勝訴しました。これは、頼朝から足利氏と同等であると認められていたという朝光の主張が認められた結果です。ただし、『吾妻鏡』には、義兼が常に朝光より上位に位置していた記述もあるため、この主張がどこまで事実かは議論の余地があります。

落胤説

朝光には、頼朝の庶子であるという説も存在します。『朝光公記』によれば、伊豆配流中の頼朝と寒河尼の娘との間に生まれ、その後小山政光の三男として育てられたとされています。しかし、幕府の公式記録にはこの記述はなく、信憑性は低いとされています。いずれにせよ、頼朝が朝光を可愛がっていたことは事実です。

結城家譜には、朝光は頼朝の嫡子であったが、頼家と実朝が将軍になったため、14歳で結城に移ったと記されています。

脚注

荒川善夫 編著『下総結城氏』戒光祥出版、2012年。

関連作品

テレビドラマ『草燃える』（1979年、NHK大河ドラマ、演：内田稔）
テレビドラマ『鎌倉殿の13人』（2022年、NHK大河ドラマ、演：高橋侃）

外部リンク

連載　結城家物語（令和4年5月号～） - 結城市
* 『結城朝光』 - コトバンク

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