小川町 (鹿児島市)

鹿児島市小川町：歴史と変遷を辿る

鹿児島市小川町は、市の中心部に位置する町です。この記事では、小川町の地理、歴史、変遷、施設、交通、著名な人物について詳細に解説します。

地理

小川町は、鹿児島市の中央部に位置し、稲荷川の下流域に広がっています。北には浜町や上本町、南には易居町や山下町、西には長田町、東には本港新町と隣接しています。町の中央部を鹿児島市電が東西に走り、桜島桟橋通電停が設置されています。

主要な道路として、北部に鹿児島県道25号鹿児島蒲生線、西端には国道10号が通っています。東端には国道10号のバイパスである鹿児島北バイパスの終点があり、また、鹿児島県道204号鹿児島停車場線が東部を通り、北東端付近で鹿児島駅方面へと進路を変えます。

教育施設としては、西部の国道10号、県道25号、鹿児島本線に囲まれた場所に鹿児島市立長田中学校があります。

歴史

現在の小川町は、1889年の市制施行時に小川町、和泉屋町の大部分、生産町の一部が合併して成立しました。

町の成立から市制施行まで

小川町周辺は、江戸時代の弘化から嘉永年間にかけて埋め立てられた土地です。小川町という町名が初めて記録に登場したのは、1879年の「県治一覧概表」です。当初、小川町は鹿児島府下上町の一部でした。

和泉屋町は江戸時代から存在する町名で、鹿児島城下上町の一部でした。宝暦年間頃の『通昭録巻七』にもその名が記されています。元禄9年には、和泉屋町の借家から出火し、鹿児島城本丸まで延焼する大火が発生しました。この火災がきっかけで、海岸の埋め立てが行われ、町屋敷が建設されました。

明治時代初期には、小川町も和泉屋町も平民が多く住む町人街で、和泉屋町には商業を営む世帯が9戸ありました。また、小川町には鹿児島監獄署が置かれ、1870年にはイギリス人医師ウィリアム・ウィリスが鹿児島医学校（現在の鹿児島大学医学部の前身）を創設し、病院（赤倉病院）を小川町に設置しました。

市制施行から住居表示実施まで

1889年の市制施行により、小川町と和泉屋町は鹿児島市の町となりました。1901年から4年間にかけて行われた鹿児島港の拡張工事では、小川町と生産町の一部が港内水域となりました。同じく1901年には鹿児島駅が開業し、小川町には商店が立ち並ぶようになりました。1924年時点では40軒余りの商店があり、1956年には194軒にまで増加しました。

明治時代後期から昭和時代にかけて、小川町では度々大火が発生しました。1907年には和泉屋町から出火し45戸が焼失し、1957年には小川町から出火し23世帯が焼失、13名の死者が出ました。

第二次世界大戦中の1945年7月27日には、アメリカ軍による鹿児島大空襲で、鹿児島駅周辺が爆撃され、小川町を含む地域が大きな被害を受けました。この空襲では、420名が死亡し、650名が負傷しました。

住居表示実施以後

1965年に住居表示が実施された際、長田町の一部、易居町の一部、山下町の一部、生産町の一部、和泉屋町の大部分が小川町に編入されました。1967年には、和泉屋町の残りの部分と恵美須町の全域、車町の一部、下竜尾町の一部、長田町の一部が上本町として再編され、和泉屋町は廃止されました。

町域の変遷

小川町の町域は、歴史的な経緯を経て現在の形になりました。

人口

1995年以降の国勢調査による人口推移は以下の通りです。

施設

公共

鹿児島地域振興局本庁舎
小川公園

教育

鹿児島市立長田中学校

郵便局

鹿児島小川郵便局

金融

鹿児島みらい農業協同組合本店
鹿児島銀行上町支店

小・中学校の学区

市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなります。

交通

道路

一般[[国道]]
国道10号
鹿児島北バイパス
主要地方道
鹿児島県道25号鹿児島蒲生線
一般県道
鹿児島県道204号鹿児島停車場線

鉄道

鹿児島市交通局鹿児島市電1系統・2系統
桜島桟橋通電停

著名な出身者

棈松源一（1903年 - 1993年、モンゴル語学・モンゴル文化学者）
小川町生まれ。日本におけるモンゴル語研究の先駆者であり、大阪外国語学校（現・大阪大学外国語学部）初の日本人モンゴル語専任教員。
大阪外国語大学名誉教授。

参考文献

鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』 1巻、鹿児島市、1969年2月28日。
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』 2巻、鹿児島市、1970年3月25日。
南日本新聞『鹿児島市史Ⅳ』 4巻、鹿児島市、1990年3月15日。
南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』 5巻、鹿児島市、2015年3月27日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、日本、1983年3月1日。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
山下悟「373ワイド 鹿児島市の消えた13町を訪ねなさい 地域の歴史今も刻む」『南日本新聞』2011年9月9日、15面。

関連項目

小川町 (曖昧さ回避)

もう一度検索