小早川煕平

小早川煕平：室町時代の武将、家督争いを乗り越え安芸に生きた生涯

小早川煕平（こばやかわ ひろひら）は、室町時代中期から後期にかけて活躍した武将です。安芸国（現在の広島県西部）を拠点とする沼田小早川氏の当主として、激動の時代を生き抜きました。「煕」の字は、当時の安芸国守護であった山名時熙から一字拝領したものと考えられています。

家督相続をめぐる争い

応永23年（1416年）、小早川則平の次男として生まれた煕平。兄には持平がおり、本来であれば持平が家督を継ぐはずでした。実際、父の則平は隠居後、持平に家督を譲っていました。

しかし、晩年になった則平は煕平を溺愛し、永享4年（1432年）に持平から家督を奪い、煕平に譲ってしまいます。この強引な家督相続は、小早川氏内部に大きな亀裂を生み、翌永享5年（1433年）に則平が死去すると、家督をめぐる激しい抗争が勃発しました。

幕府の介入と内政干渉

この内紛に対し、室町幕府6代将軍・足利義教が調停に乗り出し、煕平の家督相続を承認します。しかし、嘉吉元年（1441年）になると、義教は小早川氏の分家である竹原小早川家の小早川盛景に家督を譲るよう圧力をかけてきます。これは、有力大名・国人を弱体化させようとする義教の策略でしたが、同年に義教が嘉吉の乱で暗殺されたため、家督は引き続き煕平が保持することとなりました。

しかし、この一件が原因となり、以後、沼田小早川氏と竹原小早川氏の間で、家督をめぐる抗争が長期化することになります。

周囲との戦いと応仁の乱

宝徳3年（1451年）、煕平は竹原小早川氏との和睦を図りますが、当主の小早川弘景はこれに応じず、むしろ安芸に勢力を拡大しようと画策していた周防・長門守護の大内教弘と結んで反抗してきました。

これに対し、煕平は教弘と敵対関係にあった細川勝元、安芸分郡守護の武田信繁・信賢父子、毛利煕元、吉川之経らと手を結び、寛正2年（1461年）と寛正6年（1465年）に教弘・弘景らと戦いました。

応仁元年（1467年）に応仁の乱が勃発すると、煕平は東軍の細川軍に与し、上京して毛利豊元らと共に西軍の大内政弘と戦いました。

死去とその後

文明4年（1472年）12月3日、煕平は死去しました。享年は57歳（没年については異説もあります）。後を長男の敬平が継ぎました。

小早川煕平は、父の偏愛による家督相続、室町幕府の介入、分家との抗争、そして応仁の乱という激動の時代を生き抜いた武将でした。その生涯は、当時の社会情勢と、地方領主の苦悩を色濃く反映しています。



参考文献
* 今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）、児玉幸多・小西四郎・竹内理三監修、新人物往来社、1984年3月。ASIN B000J78OVQ。ISBN 4404012403。 NCID BN00172373。OCLC 11260668。全国書誌番号:84023599。

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