小笠原長巨

小笠原長巨（おがさわら ながなお/ながおん）

小笠原長巨は、天文20年（1551年）に生まれ、寛永11年8月29日（1634年10月20日）に没した、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将です。信濃国伊那郡の国人領主であり、後に江戸幕府の交代寄合旗本（伊那衆）となりました。父は小笠原信貴、母は諏訪満隆の娘であり、子には長重、長泰、良隆、泰政がいます。正室は河窪（武田）信実の娘です。通称は孫六、靱負、号は以鉄入道と称しました。

生涯

長巨の生涯は、激動の戦国時代から江戸時代への移行期と重なります。

天正10年（1582年）2月13日、織田信長による甲州征伐の際、兄の小笠原信嶺が織田信忠に降伏する際に、人質として差し出されました。同年6月、本能寺の変で信長が死去すると、菅沼藤蔵の仲介により、兄と共に駿府城で徳川家康に謁見しました。この時、豊臣秀吉恩顧の大名である飯田城主京極高知の動向を探り、京極氏に徳川家康に対して敵対する意思がないことを報告しました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、前哨戦である東濃の戦いに参加し、山村良勝、千村良重と共に美濃苗木城、岩村城を攻撃しました。

また、義理の甥である小笠原信之が、松尾小笠原氏の本拠地である伊那郡松尾への帰住を命じられた際、これを拒否したため、家康の怒りを買いました。その結果、長巨は武蔵本庄から伊那郡伊豆木に1千石を与えられ、伊豆木陣屋を築くこととなりました。高遠領の保科氏、飯田領の小笠原氏など、伊那谷の新たな領主が確定するまでの間、伊那郡10万石を一時的に預かることとなりました。

慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では、箱根関の守備を命じられ、本戦には参加しませんでした。しかし、元和元年（1615年）の大坂夏の陣では、松平乗寿軍に属し、大坂城を望む枚方に駐屯しました。

長巨は84歳で亡くなり、法名は圭卜とされました。子孫は交代寄合の伊那衆として、江戸時代を通じて存続しました。

脚注

「寛政重修諸家譜 巻第196」
「下伊那史 7」

関連項目

* 伊那衆

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