小笠原長常

小笠原長常の生涯と業績

小笠原長常（おがさわら ながつね）は、1818年11月25日（文政元年10月27日）に江戸市ヶ谷で生まれた江戸時代末期の旗本です。彼は小笠原氏の7代目当主であり、唐津藩分家に属する中島陣屋の3,000石を有していました。父は久貝正満であり、長常は同じく旗本である兄、久貝正典の弟として、早くからその名を知られていました。長常は若い頃、郁七郎という名で呼ばれ、後に小笠原長坦の養子となり「織部」を名乗ります。また、養子には長功がいました。

長常は、政治的な経歴を有し、さまざまな官職に就きながら幕末の動乱期において重要な役割を果たしました。彼の官位は従五位下長門守として知られており、その後、筑後守へと昇進しました。彼の政治的なキャリアは、天保14年（1843年）に家督を継承したことから始まります。彼は当時の幕府において中奥小姓としてスタートし、徐々にその地位を高めていきました。

政治的活動と業績

長常は嘉永6年（1853年）には甲府勤番を経て、安政3年（1856年）には浦賀奉行に就任しました。この役職にあったことで、彼は外国との接触が増え、国際情勢に対する理解を深めることとなります。その後、安政5年（1858年）には京都町奉行に就任し、この期間中に発生した安政の大獄において重要な貢献を果たしました。この期間、彼の活動は非常に目覚ましいもので、幕府の権威を守るために尽力しました。

万延元年（1860年）には大目付、そして勘定奉行を務め、文久2年（1862年）には江戸北町奉行に就任。政事改革御用掛にも抜擢され、様々な制度改革に貢献しました。しかし、同年の後半においては安政の大獄での活動が問題視され、長常は書院番頭に左遷され、さらには免職という厳しい処分を受けました。この時、彼は家督を養子の長功に譲り、隠居生活を送ることになります。

復帰とその後

慶応元年（1865年）には再び官職に復帰し、筑後守に改任され神奈川奉行に就任しました。さらに、慶応2年（1866年）には陸軍奉行及び海軍奉行を兼任し、明治維新における新たな秩序形成に関与しました。幕府崩壊後、長常は徳川宗家が静岡藩に転封される際にはこれに従いました。

1878年8月19日、愛知県碧海郡中島村において病に倒れ、そこで亡くなります。彼の墓所は当時の早川邸内にある竜泉寺に位置しており、その墓碑には勝海舟が銘を刻み、藤原次謙による文が添えられています。長常の人生は、彼が生きた時代の政治情勢や文化に深く関与しており、その足跡は今でも多くの人々に記憶されています。

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