島津忠広 (豊州家)

島津忠広は、戦国時代の薩摩国（現在の鹿児島県）で活躍した武将であり、薩摩島津氏の分家である豊州家の4代目当主です。父は豊州家3代当主の島津忠朝です。忠広は、1538年に父・忠朝が志布志へ移ると、飫肥城を任されました。しかし、病弱であったため、政務は談合衆の日置美作守に一任していました。

1540年、日向伊東氏への抵抗勢力（長倉祐省・長倉能登守の乱）から援軍を要請されると、日置美作守の独断で出兵し、敗北を喫しました。この出来事は、忠広の病弱と、家臣団の独走が招いた結果と言えるでしょう。

島津宗家では、15代当主の島津貴久と前当主の島津勝久の間で争いが起きていました。忠広は、勝久の重臣であった肝付兼演や本田薫親らと共謀し、1541年に貴久の父である島津忠良の娘婿・樺山善久を攻撃しました。しかし、忠良の家臣である伊集院忠朗によって撃退され、この企ては失敗に終わりました。

1543年、伊東義祐が攻勢を強め、日向にあった島津家の砦が次々と陥落しました。この状況に対し、1545年に島津貴久が宗家をまとめ、伊集院一宇治城を居城とすると、忠広は北郷忠相と共に伊集院へ向かい、貴久を薩摩守護としてその指示に従うことを申し出ました。これにより、島津家は再び結束を強め、伊東氏に対抗していくことになります。

1546年、養子の二郎三郎賀久（島津忠隅の子）が夭逝したため、北郷氏より忠親を養子に迎えました。そして、1549年には家督を忠親に譲り隠居しました。1551年、69歳でこの世を去りました。忠広の生涯は、病弱でありながらも、島津家のために尽力したものでした。激動の戦国時代において、島津家の一員として重要な役割を果たした人物として、歴史に名を刻んでいます。

忠広の事績は、島津家内部の権力闘争や、外部勢力との戦いの中で、常に島津家のために行動したことが窺えます。特に、島津貴久を宗家当主として認めたことは、その後の島津家の発展に大きく貢献しました。また、養子を迎えて家督を継承させたことは、島津氏の血脈を維持し、後世に繋げていく上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。忠広は、戦国時代の激しい動乱の中、病と戦いながらも、その役割を全うした人物として、後世に語り継がれています。

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