崇福寺 (長崎市)

崇福寺：長崎の歴史と文化が薫る黄檗宗の寺院

崇福寺は、長崎県長崎市にある黄檗宗の寺院であり、その歴史は寛永6年（1629年）にまで遡ります。長崎で貿易を行っていた福建省出身の華僑の人々が、福州から超然を招き創建しました。興福寺、福済寺とともに「長崎三福寺」に数えられ、長崎に現存する四つの唐寺の一つとして、重要な位置を占めています。中国様式の寺院としては日本最古であり、その建築様式や文化財は、中国と日本の文化交流の歴史を今に伝えています。

歴史と概要

創建以来、崇福寺は福建省出身者をはじめとする多くの人々の信仰を集め、「福州寺」や「支那寺」とも呼ばれて親しまれてきました。幕末には、日本のミッション・スクールの濫觴（らんしょう）として立教大学の源流となる私塾や、唐通事の子弟のための訳家学校、英学寄宿舎である培社などが設けられ、日本の英学と語学教育の基礎が築かれました。吉田松陰、高杉晋作、坂本龍馬といった志士たちも訪れ、明治維新で活躍する外交官や通訳者を育むなど、日本の近代化において重要な役割を果たしました。

文化財

崇福寺には、数多くの文化財が保存されており、その中でも大雄宝殿と第一峰門は国宝に指定されています。

国宝
大雄宝殿：1646年建立。桁行五間、梁間四間、二重、入母屋造、本瓦葺。
第一峰門：1644年建立。四脚門、入母屋造、本瓦葺。
重要文化財
三門：1849年建立。桁行三間、梁間二間、二重門、入母屋造、本瓦葺、左右脇門付。
鐘鼓楼：1728年建立。桁行三間、梁間二間、二重、入母屋造、本瓦葺。
護法堂（天王殿、関帝堂、韋駄殿、観音堂）：1731年建立。桁行三間、梁間五間、一重、入母屋造、本瓦葺。中央に観音、向かって右に関帝、左に韋駄天を祀る。
媽姐門：1666年建立。三間三戸八脚門、入母屋造、桟瓦葺。
絹本著色仏涅槃図：呉彬筆、明・万暦38年（1610年）。

これらの文化財は、崇福寺の歴史と文化を物語る貴重な遺産であり、訪れる人々を魅了しています。

英学・語学教育の源泉地と日本外交の礎

崇福寺は、日本の近代化において重要な役割を果たした場所でもあります。1859年（安政6年）には、米国聖公会の宣教師であるジョン・リギンズとチャニング・ウィリアムズによって、立教大学の源流となる私塾が創設されました。この塾では、幕府の公式通詞（唐通事）に英学が教えられ、日本におけるミッション・スクールの始まりとなりました。

また、崇福寺は、幕末の志士たちの交流の場でもありました。吉田松陰は鄭幹輔を訪ねて学び、高杉晋作はウィリアムズから政治制度や国際情勢を学びました。坂本龍馬も崇福寺を訪れており、海援隊士として活躍した瓜生震も崇福寺にあった培社で学んでいます。

キリンビールのラベルとの関連性

崇福寺境内の石碑にある麒麟像は、キリンビールの初代ラベルの下絵になったという説があります。ただし、初代ラベルのルーツについては諸説あり、グラバー園内の旧グラバー住宅の温室前に置かれている狛犬もモチーフになっているとも言われています。

まとめ

崇福寺は、長崎の歴史と文化を象徴する貴重な寺院です。美しい建築物や文化財、そして幕末の志士たちが集った歴史的な背景は、訪れる人々に深い感動を与えます。長崎を訪れる際には、ぜひ崇福寺に足を運び、その歴史と文化に触れてみてください。

関連情報
崇福寺停留場から徒歩3分
八坂神社（崇福寺に隣接）

外部リンク
歴史の街長崎観光ぶらり散策（崇福寺）
* ながさき旅ネット（崇福寺）

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