川上悦夫

川上悦夫：北海道を代表する競走馬生産者

川上悦夫氏は1950年3月24日生まれ、北海道新冠郡新冠町東泊津を拠点とする競走馬生産者です。有限会社川上牧場の代表者として、日本中央競馬会（JRA）と地方競馬全国協会（NAR）に馬主登録しており、勝負服は白、緑ダイヤモンド、袖緑縦縞を使用しています。

父から継承した牧場経営と成功

高校卒業後、川上氏は父・川上景吉氏から川上牧場を継承しました。当初は父名義で生産を続けながら、牛の飼育も行っていた牧場を馬の生産に特化。地道な努力と情熱を注ぎ込み、1987年、生産馬が中央競馬の重賞競走で初優勝という大きな成果を収めます。その後も着実に実績を積み重ね、1995年には生産馬マヤノトップガンなどの活躍により、中央競馬の生産牧場ランキングで2位にランクインする快挙を達成しました。

川上牧場の規模と育成体制

1966年に開設された川上牧場は、1995年時点で約80ヘクタール、2005年時点で約100ヘクタールの広大な敷地を誇ります。繁殖牝馬の頭数も1995年の約50頭から2005年には約40頭に落ち着き、質の高い生産体制を確立していました。育成面においても、2005年には北海道沙流郡門別町（現・日高町）に育成場を設立し、生産から育成まで一貫した管理体制を整えました。現在、新冠町の有限会社川上牧場で生産された馬は、中央競馬の生産牧場ランキングにおいて、川上悦夫氏の生産馬として計上されています。

数々の活躍馬を輩出

川上牧場からは、数々の名馬が誕生しました。特に、クラブ法人ブルーマネジメント（旧：荻伏オーナーズ）には長年生産馬を提供し、ブルーコンコルドなど多くの活躍馬を送り出しています。

川上景吉名義の主な生産馬:
クラウンエクシード（1987年ウインターステークス）
アンシストリー（1989年皐月賞3着、種牡馬）
フエステイバル（1992年とちぎ大賞典）

川上悦夫名義の主な生産馬:
マヤノペトリュース（1992年シンザン記念）
ナリタタイシン（1992年ラジオたんぱ杯3歳ステークス、1993年皐月賞、1994年目黒記念）
マヤノトップガン（1995年菊花賞、有馬記念、1996年宝塚記念、1997年阪神大賞典、天皇賞（春））
マイヨジョンヌ（1996年新潟大賞典、福島記念、1997年新潟大賞典）
ゴッドスピード（1996年小倉3歳ステークス、府中3歳ステークス、1998年阪神障害ステークス〈春〉、京都大障害〈春〉、1999年中山大障害）
ファヴォリート（1999年新潟ジュニアカップ）
シリアスゲーム（2000年せきれい賞）
ナショナルスパイ（2000年埼玉新聞杯）
ピーエムカイザー（2000年クラウンカップ）
ヤマノラヴリー（2000年川崎・リリーカップ）
キヌガサダンサー（2002年日本海ダービー）
ブルーコンコルド（2002年京王杯2歳ステークス、2005年プロキオンステークス、シリウスステークス、JBCスプリント、2006年黒船賞、マイルチャンピオンシップ南部杯、JBCマイル、東京大賞典、2007年かしわ記念、マイルチャンピオンシップ南部杯、2008年マイルチャンピオンシップ南部杯）
イルバチオ（2003年アイビスサマーダッシュ）
ユキノサンロイヤル（2005年日経賞）
コスモヴァシュラン（2009年、2010年せきれい賞、2010年OROカップ）
ハクシンフリーダム（2009年尾張名古屋杯）
タカオセンチュリー（2011年アフター5スター賞）
キングサラディン（2011年高知県知事賞）
ロクイチスマイル（2012年北斗盃）
メイプルシスター（2023年園田FCスプリント）

川上牧場名義の主な生産馬:
ステイブルライン（道営・アラブ王冠、道営・アラブ優駿、北海盃、道営・ジュニアチャンピオン、ゴールドトロフィー、福山マイラーズカップ）
フューチャサンデー（2000年クイーンカップ）
ディーエスサンダー（2003年マーキュリーカップ）
キングジョイ（2008年、2009年中山大障害、2008年京都ハイジャンプ、2007年京都ジャンプステークス）
オリオンザクロノス（2008年吉野ヶ里記念）
グランシュヴァリエ（2012年ファイナルグランプリ、高知県知事賞、2013年二十四万石賞、高知県知事賞）
カンスタントリー（2015年新涼賞、長月賞）
タツゴウゲキ（2017年小倉記念、新潟記念）
クレイジーアクセル（2018年東京湾カップ、2019年ノースクイーンカップ、ビューチフルドリーマーカップ、クイーン賞）
サクラレグナム（2018年建依別賞、2019年大高坂賞、黒潮スプリンターズカップ、御厨人窟賞、2020年大高坂賞、2021年黒潮スプリンターズカップ）
リンゾウチャネル（2018年ジュニアグランプリ、2019年ホッカイドウ競馬3歳三冠【北斗盃、北海優駿、王冠賞】、楠賞）
トキノパイレーツ（2019年スパーキングサマーカップ）
トーラスジェミニ（2021年七夕賞）

これらの活躍馬は、川上悦夫氏の卓越した生産技術と、長年にわたる献身的な努力の賜物と言えるでしょう。

関係者

* かなざわいっせい：競馬ライター。毎年夏に川上牧場で牧夫として働いていた。

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