平之町

鹿児島市平之町：歴史と文化が息づく街

平之町（ひらのちょう）は、鹿児島県鹿児島市の中央部に位置する町です。旧薩摩藩時代には武家屋敷が立ち並び、現在もその名残をとどめる史跡や公園が存在します。人口は2020年時点で約2,700人、世帯数は約1,700世帯です。

地理

平之町は甲突川の下流域に位置し、北から東にかけて照国町や新照院町、南に西千石町、西に鷹師と隣接しています。町の南端には鹿児島県道24号線（千石馬場通り）、中央部には国道3号線が東西に走り、平田橋交差点で国道3号線は北に向きを変え、甲突川に沿って南北に伸びています。町内には鹿児島三育小学校・幼稚園があり、東端に位置しています。

西側にある平田公園は、薩摩藩の家老であった平田靱負の屋敷跡です。隣には同じく薩摩藩の家老であった調所広郷の屋敷跡があり、この地域がかつて上級武士の居住区であったことがうかがえます。また、平田橋周辺には、日本画家の木村探元の誕生地の碑や、県内幹線道路開通を記念する道路開鑿記念碑も建立されています。

由来

町名の「平之町」は、町の北部に広がる傾斜地が、鹿児島弁で「平（ひら）」と呼ばれていたことに由来します。

歴史

江戸時代

江戸時代、平之町は鹿児島城下の武家屋敷が集中する地域でした。特に上級武士の屋敷が多く、現在の平田公園は、宝暦治水事件で指揮を執った平田靱負の屋敷跡として知られています。平田靱負の銅像は1955年に建立され、現在も慰霊祭が行われています。また、平田靱負の屋敷の隣には調所広郷の屋敷もありました。

延宝8年には、地内の田尻殿屋敷から出火し、大火災が発生。3,308軒が全焼し、54名もの犠牲者が出ました。

市制施行後

1889年、鹿児島市制施行に伴い、平之馬場町は鹿児島市の一部となり、後に「平之町」と改称されました。1965年には住居表示が実施され、町域の一部が照国町となりました。

町域の変遷

平之町の町域は、時代とともに変化を遂げてきました。住居表示の実施により、一部が照国町として分離された一方で、基本的な町域の構造は維持されています。

人口

1995年以降の国勢調査によると、平之町の人口は減少傾向にあります。

施設

公共

平田公園

教育

学校法人三育学院鹿児島三育小学校・幼稚園

企業

健康家族本社

平之町に関係する人物

出身

平田靱負：薩摩藩家老、木曽三川分流工事総奉行
調所広郷：薩摩藩家老
大迫貞清：初代静岡県令、第4代警視総監、官選初代沖縄県令、官選第5代鹿児島県知事
大田弘子：元経済財政政策担当大臣、みずほフィナンシャルグループ取締役会議長

一時居住

向田邦子：小説家（1939年から1941年まで居住）
吉松義彦：柔道家（町内に道場を構えた）

学区

平之町内の小中学校の学区は、鹿児島市の教育委員会が定めています。

交通

道路

一般[[国道]]：国道3号
主要地方道：鹿児島県道24号鹿児島東市来線

鉄道（廃止路線）

鹿児島市電伊敷線：千石馬場電停（1985年廃止）

かつては鹿児島市電伊敷線が町内を走っていましたが、1985年に廃止されました。

脚注

詳細は以下の文献を参照ください。

鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』 (1970)
「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」 (1983)
* 木脇栄『かごしま市史こばなし』(1976)

平之町は、その歴史的な背景と、現代的な生活が調和した、魅力的な町です。

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