平野晃

平野 晃（ひらの あきら）

平野晃は、1922年1月15日に鹿児島県で生まれ、2009年12月27日に87歳で亡くなった、大日本帝国海軍と航空自衛隊の軍人です。最終階級は空将で、第13代航空幕僚長を務めました。

海軍時代

鹿屋中学を経て海軍兵学校（第69期）を卒業。当初は艦隊勤務で、真珠湾攻撃時は戦艦「霧島」に乗艦して作戦に参加しました。その後、軽巡洋艦「阿武隈」に乗り組み、アッツ島の戦いでは陸戦隊を指揮。空母「翔鶴」では高角砲指揮官として南太平洋海戦、第二次ソロモン海戦に参加しました。これらの実戦経験を通して航空機の優位性を痛感し、自らもパイロットを志望するようになります。

艦上爆撃機の訓練を受けた後、1944年末に特攻隊が編成されると、その分隊長に任命されました。特攻兵器「桜花」22型の開発実験にも携わり、1945年8月15日には正式採用のための最終判定実験で「桜花」に搭乗する予定でした。しかし、「桜花」には着陸装置がなく、脱出も不可能とされていたため、死を覚悟していましたが、正午の玉音放送により実験が中止となり、命拾いをしました。

航空自衛隊時代

戦後は公職追放となりますが、1952年9月に解除されると、警察予備隊の航空隊に入隊。1953年夏には保安隊操縦学校に第3期生として入校しました。その後、航空自衛隊の発足に伴い転官し、パイロットとして活躍します。

1960年3月には、第3航空団所属のパイロットとしてF-86Dで発進した直後、管制官のミスにより滑走路上で民間機と衝突する事故（全日空小牧空港衝突事故）に遭います。炎に包まれた機体から自力で脱出して九死に一生を得ましたが、その際に「整備員が手入れしてくれた機体を台なしにして申し訳ない」と瞬間的に思ったそうです。

空幕副長在任中にはミグ25事件が発生。空幕長が入院中であったため、事件対策の陣頭指揮を執りました。その後、航空幕僚長に就任し、航空自衛隊の発展に大きく貢献しました。

年譜

1941年（昭和16年）
3月25日：海軍兵学校卒業（第69期）、海軍少尉候補生、戦艦「山城」乗組
4月21日：戦艦「霧島」乗組
11月1日：海軍少尉任官
12月30日：軽巡洋艦「阿武隈」乗組
1942年（昭和17年）
7月20日：空母「翔鶴」乗組
11月1日：海軍中尉に進級
1943年（昭和18年）1月15日：海軍練習航空隊飛行学生
1944年（昭和19年）
1月26日：百里原海軍航空隊附兼教官
3月15日：海軍大尉に進級
11月16日：第721海軍航空隊分隊長
1945年（昭和20年）
2月15日：第722海軍航空隊飛行隊長兼分隊長
11月30日：予備役に編入
1952年（昭和27年）9月：警察予備隊に入隊（1等警察士）
1953年（昭和28年）4月：3等保安正
1954年（昭和29年）8月14日：航空自衛隊に転官（3等空佐）
1963年（昭和38年）
1月1日：1等空佐に昇任
8月1日：北部航空方面隊司令部防衛部長
1964年（昭和39年）
6月1日：第2航空団司令部防衛部長
12月28日：第2航空団飛行群司令
1965年（昭和40年）2月16日：航空幕僚監部防衛部運用課運用班長
1967年（昭和42年）7月17日：航空総隊司令部防衛部長
1969年（昭和44年）7月16日：第7航空団司令兼百里基地司令
1970年（昭和45年）1月1日：空将補に昇任
1971年（昭和46年）7月1日：中部航空方面隊司令部幕僚長
1973年（昭和48年）7月1日：空将に昇任、北部航空方面隊司令官に就任
1974年（昭和49年）7月1日：第15代 航空幕僚副長に就任
1976年（昭和51年）10月15日：第13代 航空幕僚長に就任
1978年（昭和53年）3月16日：退官。

退官後は、財団法人日本国防協会第2代理事長や三菱重工顧問などを務めました。1992年4月29日には勲二等瑞宝章を受章。2009年12月27日、多臓器不全のため逝去。享年87。叙・正四位。

栄典

レジオン・オブ・メリット・コマンダー - 1977年（昭和52年）9月1日
勲二等瑞宝章 - 1992年（平成4年）4月29日

平野晃は、激動の時代を生き抜き、日本を守るために尽力した軍人でした。

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