広尾駅 (北海道)

広尾駅（廃駅）

広尾駅（ひろおえき）は、かつて北海道広尾郡広尾町丸山通り北2丁目に存在した日本国有鉄道（国鉄）広尾線の鉄道駅です。広尾線の南端に位置する終着駅であり、十勝地方南部の玄関口として機能しました。電報略号はヒオ、事務管理コードは▲111516でした。

歴史

広尾駅は、広尾線のうち大樹駅からの延伸区間開業に伴い、1932年（昭和7年）11月5日に国有鉄道の一般駅として開設されました。これにより広尾線は全線が開通しましたが、当初の計画ではここからさらに日高本線の様似駅まで延伸する構想がありました。しかし、その計画は実現せず、広尾駅が終着駅のままとなりました。

全国の鉄道路線を乗り継ぐ最長片道切符の旅において、広尾駅が一時期、その起終点の一つとなったことがあります。紀行作家・宮脇俊三氏の著書『最長片道切符の旅』にも登場し、鉄道ファンの間でもよく知られた駅でした。

駅施設については、1977年（昭和52年）11月15日に駅舎が改築され、モダンな建物に生まれ変わっています。しかし、広尾線が特定地方交通線に指定されると、貨物（1982年9月10日廃止）、荷物（1984年2月1日廃止）の取り扱いが順次終了し、旅客駅となりました。そして、国鉄分割民営化を控えた1987年（昭和62年）2月2日、広尾線全線の廃止に伴い、広尾駅も廃駅となりました。旧駅舎はその後長らく利用されましたが、老朽化により2018年（平成30年）6月に解体され、新たな待合所に建て替えられています。

駅名の由来

駅名の由来は、所在地である広尾町の町名から名付けられました。

駅構造（廃止時）

廃止時点では、地上駅で単式ホーム1面1線を持つ構造でした。ホームは線路の南東側にあり、駅舎に接していました。旅客用の1番線の北側には、ホームのない2番線から4番線までの線路が配置されており、特に4番線からは転車台や車庫へ向かう側線が分岐していました。その他にも、貨物取り扱い時代の名残として積卸線や木材線、貨物ホームへの側線なども存在していました。

駅舎は構内の南側に位置し、ホーム中央部分に接していました。この駅舎は1977年に改築されたもので、船底形の鉄骨ヘーベンライト仕上げというモダンなデザインが特徴でした。駅員が配置されており、「わたしの旅スタンプ」も設置されていました。

利用状況

1981年度（昭和56年度）の統計によると、広尾駅の1日当たりの平均乗降客数は234人でした。

駅跡の現在

広尾駅の廃止後、旧駅舎は広尾町に払い下げられ、1987年（昭和62年）7月に「広尾町鉄道記念館」として活用されることになりました。駅舎内には、閉塞器や通標、保線用具、備品、時刻表、駅スタンプ、写真などが展示され、広尾線の歴史を伝える場所となっていました。特に「さよなら列車」運転記念のスタンプは人気でした。一方、駅のレールは撤去され、駅前広場は駐車場に整備されましたが、改札柵や転轍てこなどは一部残されました。

駅構内の跡地は「鉄道記念公園」として整備されています。公園内には、かつて広尾線を走ったC11形蒸気機関車の動輪が記念碑として展示されており、パークゴルフ場も設けられています。廃止直後に保存されていた車両（キハ22形など）もありましたが、後に状態悪化のため解体されました。

旧駅舎は、鉄道記念館であると同時に、地域のバス交通の拠点としても機能しました。十勝バスとジェイ・アール北海道バスが乗り入れるバスターミナルとなり、十勝バスの案内所では廃止代替バスの硬券乗車券も販売されていました。これは、かつてJR北海道の日高本線との連絡運輸を行っていた経緯から、自動車駅としての役割も担っていたためです（ただし、ジェイ・アール北海道バスの乗車券自体は取り扱っていませんでした）。旧駅舎がバス待合所として活用される例は、当時の北海道内では珍しい事例の一つでした。

しかし、築約40年が経過し、駅舎の老朽化が著しくなったことから、解体と建て替えが決定されました。2018年（平成30年）に着工された新待合所が同年中に完成し、現在に至ります。旧駅舎に展示されていた鉄道関連資料は、町立海洋博物館内の郷土文化保存伝習館に移され、引き続き公開されています。

駅周辺

広尾駅周辺には、広尾町役場や広尾郵便局などの公共施設、十勝港、歴史ある十勝神社、仙台藩トカチ陣屋跡などがあります。また、広尾スキー場や大丸山、フンベの滝といった自然スポットも点在しています。

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