広瀬正雄

広瀬 正雄（ひろせ まさお、廣瀨 正雄、1906年7月3日 - 1980年12月3日）は、戦後の日本政治において重要な役割を果たした政治家である。大分県日田市の市長を務めたのち、衆議院議員として連続10期当選を果たし、佐藤内閣では郵政大臣に就任するなど、その経歴は多岐にわたる。

生い立ちと教育

明治39年（1906年）7月3日、中国の廈門市で生を受けた。父は後に日田郵便局長となる広瀬貞治。父とともに日本へ帰国し、大分県日田市で少年時代を過ごした。学業では優れた成績を収め、1924年には福岡県立中学修猷館を卒業し、1926年には第五高等学校文科甲類へ進学した。その後、東京帝国大学に入学するも病気のため中途退学を余儀なくされる。しかし学業を諦めず、1931年に九州帝国大学法文学部を卒業した。

公職への道

大学卒業後、父の職に関連する分野に進み、日田郵便局長や熊本逓信講習所長といった要職を経験した。第二次世界大戦終戦後の1945年からは、故郷である日田市の市政を担うこととなり、市長を3期にわたり務めた。この期間、日田市の復興と発展に尽力した。

国政での活動

1952年、第25回衆議院議員総選挙に大分1区から自由民主党公認で立候補し、初当選を果たした。この選挙での同期当選者には、後に総理大臣となる福田赳夫や大平正芳をはじめ、黒金泰美、内田常雄、丹羽喬四郎、灘尾弘吉、宇都宮徳馬、植木庚子郎、加藤精三、山崎巌、今松治郎、重政誠之、町村金五、古井喜実といった、戦後政治史に名を残す多くの政治家たちがいた。広瀬はこれ以降、連続して10期にわたり衆議院議員を務め、国政の舞台で活躍を続けた。

要職歴任と大臣就任

衆議院議員として、海外引揚及遺家族援護特別委員長、郵政政務次官、通商産業政務次官など、多岐にわたる分野で要職を歴任した。特に、1971年7月には、第3次佐藤栄作内閣の改造において郵政大臣として入閣を果たした。郵政行政の責任者として、通信や郵便事業の発展に貢献した。大臣退任後も、衆議院逓信委員長や、当時の政界を揺るがせたロッキード問題に関する調査特別委員長といった重要なポストを担い、その手腕を発揮した。

晩年と顕彰

長年の政治活動と功績が認められ、1976年11月には勲一等旭日大綬章を受章した。1980年12月3日に死去。享年74歳であった。その死に際しては、正三位に叙され、菊紋の銀杯一組が賜与された。故郷である日田市への貢献も高く評価され、1981年には日田市名誉市民に選定されている。晩年の住所は大分県日田市豆田町であった。

家族

広瀬家からは多くの著名人を輩出している。父は貞治。
長男：貞雄（1933年 - 2020年）は富士紡績社長を務めた。
二男：道貞（1934年 - ）はテレビ朝日会長、日本民間放送連盟会長を歴任した。
四男：勝貞（1942年 - ）は通商産業事務次官を経て大分県知事を務めた。
五男：興貞は興銀証券常務を務めた。

その他

参考文献として『人事興信録 第15版 下』（人事興信所、1948年）がある。また、後に宮崎県知事を務めた畑英次郎は広瀬の秘書を務めた経験がある。大分県の広瀬氏との関連も指摘されることがある。

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