後期三畳紀

後期三畳紀の概要

後期三畳紀（こうきさんじょうき）は、中生代の三畳紀における最後の地質時代であり、約2億3700万年前から2億130万年前までの期間を指します。この時代は、レーティアン、ノーリアン、カーニアンの三つの期に分けられます。後期三畳紀の特徴は、地理的な面でのパンゲア大陸の存在と、それに伴う独特な生態系の形成でした。

地理と環境

この時代には、全ての大陸がつながったパンゲア大陸が広がり、陸上動物相は地域ごとの独自性があまり見られない状況でした。また、地殻運動が限定的だったため、山脈や内海は少なく、広大な砂漠が占める風景が広がっていました。森林は、雨や地下水が豊富な限られた地域に点在していました。

気温は比較的高いものの、中期から後期三畳紀にかけて徐々に低下し、平均気温は25℃に達しました。このため、当時の陸上動物は乾燥した気候に適応して進化を遂げる必要がありました。特にカーニアン期では、乾燥から急激な湿潤化が起こる「カーニアン多雨事象」が見られ、これは火山活動による影響と考えられています。カーニアン期の後に、多様な恐竜が急成長したのも、この気候の変化があったからだといえます。

後期三畳紀の終わりには、「三畳紀末の大量絶滅」と呼ばれる事象が起きました。この絶滅によって多くの生物群が打撃を受け、その原因には隕石衝突や火山活動が関与しているとされています。

動物相

陸上動物

後期三畳紀の陸上動物には、恐竜の初期の形態が出現しますが、当時の主な支配種ではありませんでした。恐竜は南アメリカで誕生し、同時期に翼竜や哺乳類も出現しました。アルゼンチンのイスキガラスト累層からは、恐竜の初期形態であるヘレラサウルスやエオラプトルの化石が見つかっています。

また、南アメリカやアフリカに生息していた竜脚形類も、パンゲア大陸を通じてアジアや南極へと拡散していきました。恐竜の他にも、植物食性や肉食性の多様な動物群が存在し、その生態系を形成していました。

海中生物

海中では、カーニアン期に浮遊性の石灰石プランクトンや現代の造礁サンゴが出現します。最古の首長竜であるラエティコサウルスもこの時期に記録されていますが、従来の陸棲爬虫類から進化した系統だと考えられています。また、魚竜の一部は絶滅する一方で、新たな系統であるパルヴィペルヴィア類が登場しました。

植物相

植物相においては、湿潤な地域ではトクサ綱や木生シダが繁茂し、乾燥地域でもさまざまなシダ植物が見られました。また、裸子植物の中ではイチョウ科やベネチテス目が目立ち、特に南アフリカからは多数のイチョウ類化石が発見されています。この時代の植物は、被子植物は未だ登場していないと考えられています。

著名な植物群

後期三畳紀から前期ジュラ紀にかけては、レート＝ライアス植物群が広がり、シダや針葉樹などが多く見られました。日本でも美祢層群や成羽層群などから植物化石が発見され、アジアでの三畳紀植物群として重要な位置を占めています。これらの植物化石は、当時の多様な生態系を示す貴重な証拠となっています。

後期三畳紀は、地球の生物史において重要な変遷を迎える時期であり、さまざまな進化の流れが形成されたことを示しています。

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