志賀親次

志賀親次（しが ちかつぐ / ちかよし）

志賀親次は、安土桃山時代に活躍した武将で、大友氏の家臣として知られています。南志賀家の志賀親守の子として生まれましたが、後に養子関係により志賀親度が父となります。彼は豊後国岡城の城主を務めました。

生涯

親次は、その武勇に優れ、養母が大友宗麟の娘であったことから、大友家内で重用されました。1584年、黒木家永が守る猫尾城攻めに参加。同年9月には、父である親度が主君・大友義統と不和になり失脚したため、19歳という若さで家督を継ぐことになりました。翌1585年にはキリシタンとなり、ドン＝パウロという洗礼名を得ています。

その後、阿蘇高森城の防衛戦にも参戦し、島津軍を退けるなどの活躍を見せます。この時の総大将は、後述する岡城の戦いで島津義弘が退却した後も抑えとして残っており、幾度も岡城に攻撃を仕掛けましたが、その度に敗走しています。

1586年、島津氏が37,000の大軍で豊後国へ侵攻を開始すると（豊薩合戦）、父・親度をはじめとする南郡衆が島津氏に味方する中で、親次は1,500ほどの兵で居城・岡城に籠城し、徹底抗戦しました。島津義弘や新納忠元が指揮する島津軍の大軍を、寡兵で何度も撃退するという武勇を発揮しています。特に鬼ヶ城の決戦では、数千の島津義弘勢に対し、わずか500の兵でこれを打ち破るという大勝利を収めました。この戦いでの志賀軍の損害はわずか20人程度だったと伝えられています。その後、豊臣秀長の援軍が豊後に上陸すると、反乱を起こした南郡衆を滅ぼし、父・親度を自刃に追い込みました。また、一万田城に囚われていた5人の島原の武将を救出し、その際にキリスト教を持ち帰ったことから、島原の隠れキリシタンのルーツはここから始まったとも言われています。これらの戦での見事な采配ぶりは、豊臣秀吉からも高く評価されました。

戦後は、祖父の親守の後見を受け、岡城を中川家に明け渡しました。豊臣秀吉から現在の大分県日田市に1,000石の所領を与えられ、島津侵攻で多くの家臣を失った大友家中で、抜群の武功を誇る親次は発言力を強めていったようです。しかし、このような状況から、主君・大友吉統（義統から改名）からは逆に疎まれるようになりました。特に、宗麟の死後にキリスト教が禁教とされると、親次は棄教を拒否し、豊後におけるキリシタンの事実上の保護者となっていましたが、親次が吉統の大阪訪問に随行している間に、吉統によって宣教師たちは豊後から追放されてしまいました。

1592年の文禄の役では、誤報を信じたため小西隊が苦戦しているにも関わらず戦況を見誤り、撤退を進言してしまいます。これが豊臣秀吉の怒りを買い、大友氏は改易となり、親次も所領を失うこととなりました。「フロイス日本史」の大友氏に関する記述は、この時、親次が仕官先を求めて上京するところで終わっています。

その後、蜂須賀家政に仕え、日田郡大井荘1,000石を領有。関ヶ原の戦いでは、九州で大友吉統の石垣原の戦いを支援しました。その後、福島正則、小早川秀秋（950石）、再び福島正則、毛利輝元と仕官先を変え、95歳で没しました。これは当時としては非常に長寿であり、祖父の親守も長寿であったことから、長寿の家系であったと考えられます。山口県宇部市小野地域に墓が現存しており、子孫は同地に残っています。また、一部の子孫は九州に戻り、細川氏に仕えて熊本藩士として明治時代まで続いたとされています。

脚注

注釈

(注釈の内容は記述されていません)

出典

(出典に関する具体的な情報は記述されていません)

参考文献

ルイス・フロイス 著、松田毅一;川崎桃太 訳『完訳フロイス日本史 8　大友宗麟篇III 宗麟の死と嫡子吉統の背教』中央公論社〈中公文庫〉、2000年。ISBN 4-12-203587-2。
児玉幸多・坪井清足監修『日本城郭大系　第16巻　大分・宮崎・愛媛』新人物往来社、1980年。
外山幹夫『大友宗麟』吉川弘文館〈人物叢書〉、1988年。ISBN 978-4642051392。
国指定史跡 岡城跡

関連項目

岡城
石垣原の合戦
大友家
豊薩合戦

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