斎藤正久 (海軍軍人)

斎藤正久は、1897年（明治30年）に宮城県で生まれ、1996年（平成8年）に98歳で亡くなった、日本の海軍軍人です。最終階級は海軍大佐で、航空戦のエキスパートとして活躍しました。

生い立ちと海軍入隊

斎藤正久は、商業を営む斎藤庄吉の息子として誕生しました。旧制古川中学（現在の宮城県古川高等学校）を卒業後、海軍兵学校に進み、1919年（大正8年）10月に47期生として卒業しました。翌1920年（大正9年）8月には海軍少尉に任官し、海軍軍人としてのキャリアをスタートさせました。

航空士官としての道

1923年（大正12年）11月、斎藤は第8期航空術学生を卒業し、航空士官としての道を歩み始めます。1925年（大正14年）12月には海軍大尉に昇進し、空母「鳳翔」乗組となります。この異動は、当時の海軍では特に高度な技量が必要とされた空母への着艦が、努力次第で誰でも可能であることを示すために行われたものでした。この時、斎藤は相婿である山本五十六の推薦を受け、同じく推薦された三和義勇と共に着艦任務を成功させました。その後、「鳳翔」の分隊長や霞ヶ浦海軍航空隊の分隊長などを歴任し、霞ヶ浦空飛行隊長に就任しました。

要職を歴任

1931年（昭和6年）12月、海軍少佐に進級。1934年（昭和9年）にはアメリカへ出張し、帰国後は空母「龍驤」の飛行長、続いて空母「赤城」の飛行長、海軍航空本部技術部部員を歴任します。1936年（昭和11年）12月には海軍中佐に昇進し、その後、横須賀海軍航空隊教官、第十五航空隊副長、霞ヶ浦空付、同飛行長、大村海軍航空隊参謀副長、木更津海軍航空隊副長など、多くの要職を歴任しました。

太平洋戦争と台南航空隊

1941年（昭和16年）10月、海軍大佐に進級した斎藤は、台南航空隊司令に着任し、太平洋戦争を迎えます。台南航空隊は、数多くのエースパイロットを擁し、南方攻略戦で大きな戦果を上げ、ラバウル航空戦でも活躍しました。斎藤は、部隊を率いて激戦を戦い抜きました。

戦後

1942年（昭和17年）12月、斎藤は航空本部に異動となります。その後、1944年（昭和19年）1月には航空本部教育部第1課長に転じ、第二二一海軍航空隊司令、第二五二海軍航空隊司令を歴任しました。1945年（昭和20年）6月、横須賀空付となり終戦を迎え、同年11月に予備役編入となりました。

親族

斎藤正久の妻である十美は、山本五十六の妻である礼子の妹であり、斎藤と山本は義兄弟の関係にありました。斎藤の海軍入隊と空母着艦成功には、山本五十六の推薦が大きく影響しており、二人の深い絆が伺えます。

斎藤正久は、日本の航空戦史において重要な役割を果たした人物であり、その功績は後世に語り継がれています。



参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 海軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
三和多美『海軍の家族』文藝春秋、2011年。ISBN 978-4-16-374750-7。
雨倉孝之『海軍航空基礎知識』光人社NF文庫、2009年。ISBN 978-4-7698-2621-7。

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