新民主主義党

ギリシャの中道右派政党：新民主主義党(Nea Dimokratia)の歴史

新民主主義党（Nea Dimokratia、略称：ND）は、1974年にコンスタンディノス・カラマンリス元首相らによって設立された、ギリシャを代表する中道右派政党です。長年にわたり、全ギリシャ社会主義運動（PASOK）、そして近年は急進左派連合（SYRIZA）と共に、ギリシャの二大政党として政治の中枢を担ってきました。国際民主同盟や中道民主インターナショナルにも加盟しており、国際的なネットワークも有しています。

1974年から1980年代：カラマンリス政権と政権交代

1974年10月4日の創設後、カラマンリスはすぐに首相に就任。7年間続いた軍事政権崩壊後、初の自由選挙でNDは54.4%という圧倒的な得票率で勝利しました。カラマンリスは、党を単なる旧態依然とした政党から、近代的で進歩的な中道右派政党へと変革しようと試みました。党のイデオロギーは「ラディカルな自由主義」と定義され、自由貿易主義と社会的正義の両立を目指しました。1977年の総選挙でも勝利を収め、NATOとの関係強化やキプロス問題の解決に尽力しました。しかし、1980年にカラマンリスが引退すると、後継のゲオルギオス・ラリスは1981年の総選挙でPASOKに敗れ、NDは下野を余儀なくされました。この間、ギリシャのEC（現在のEU）加盟はND主導で決定されましたが、国民投票を認めなかった点で批判を受けました。

1980年代後半から2000年代前半：政権奪還と政権運営

1989年、コンスタンディノス・ミツォタキスを首班としてNDは少数与党として政権を掌握。翌年の選挙では議席の過半数を獲得しましたが、その後は幾度となく選挙で敗北を喫しました。ミツォタキス、Miltiades Evert、コスタス・カラマンリス（創設者の甥）らが党首を務めるも、2000年の選挙では歴史上最低議席数という苦杯を舐めました。しかし、2003年以降は世論調査でPASOKをリードするようになり、2004年の総選挙でコスタス・カラマンリスが勝利。7年ぶりに政権に返り咲きました。

2000年代後半から2010年代：金融危機と政権交代

カラマンリス政権は2007年の選挙でも辛勝し、新[[自由主義]]的な改革を進めましたが、世界的な金融危機による景気後退と社会不安、若者の暴動などを招きました。2009年の選挙でPASOKに敗れ下野。党首はアントニス・サマラスに交代しました。ギリシャの深刻な金融危機の中で、2011年にはPASOKとの大連立政権を形成。2012年の総選挙で第一党となり、サマラスを首班とする大連立政権が発足しました。しかし、2015年の総選挙では急進左派連合（SYRIZA）に第一党の座を奪われ、76議席にとどまりました。

2010年代後半から2020年代：キリアコス・ミツォタキス政権

2019年の総選挙では、キリアコス・ミツォタキス党首のもと、過半数の158議席を獲得。ミツォタキスが首相に就任しました。2023年の総選挙でも158議席を獲得し、第2次ミツォタキス内閣が発足しました。

結論

新民主主義党は、ギリシャ現代史において、常に重要な役割を果たしてきた政党です。軍事政権崩壊後の民主化、EU加盟、そして金融危機といった大きな転換期において、政権与党、野党双方としてギリシャ政治をリードしてきました。今後も、ギリシャ政治における主要勢力として、その動向が注目されます。 NDのイデオロギーや政策、そしてその歴史的役割を理解することは、現代ギリシャ政治を理解する上で不可欠です。この党の変遷と将来の展望は、ギリシャのみならず、ヨーロッパ全体の政治状況にも影響を与える可能性があります。

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