日映新社撮影所

日映新社撮影所（目黒スタジオ）の盛衰

日映新社撮影所、通称「目黒スタジオ」は、かつて東京都品川区上大崎に存在した映画スタジオです。その歴史は、戦後の混乱期から、日本映画の隆盛、そしてテレビ時代への移行期を経て、21世紀初頭の閉鎖まで、日本の映像業界の変遷を色濃く反映しています。

前身：東日興業スタジオから東京映画撮影所へ

この撮影所の始まりは、第二次世界大戦後、毎日新聞社が旧海軍大学校の跡地を払い下げを受け、子会社の東日興業が1950年9月に開設した東日興業スタジオに遡ります。ここでは、アメリカNBCテレビのニュース映画の日本版や、日本初の米合作映画『東京ファイル212』が製作されました。

その後、1952年に東宝が東日興業を買収し、東京映画撮影所として新たなスタートを切ります。開所第一作は、豊田四郎監督の『春の囁き』でした。1950年代から60年代にかけては、「社長シリーズ」や「駅前シリーズ」といった人気映画が数多く撮影され、東宝映画を支える重要な拠点となりました。

日映新社撮影所としての展開

1962年、東京映画撮影所が世田谷区に移転した後、跡地には日本映画新社が入居し、日映新社撮影所として新たな時代を迎えます。1976年には大規模な改装が行われ、東宝は同撮影所を「目黒スタジオ」と通称し、テレビ映画の受注製作に活用しました。

閉鎖とその後

しかし、時代の流れには逆らえず、2002年に日映新社撮影所は閉鎖されました。日本映画新社の機能は移転し、跡地は売却され、UR都市機構シティコート目黒として再開発されました。長らく同社の本社屋が存在しましたが、港区新橋に移転しています。2008年にはライブラリー業務が東宝ステラに移管され、2009年に日本映画新社は解散しました。

データ

所在地: 東京都品川区上大崎2-10-17
施設: 4階建て管理棟1、ステージ1

名称の変遷

1. 東日興業スタジオ
2. 東京映画撮影所
3. 日映新社撮影所（通称：目黒スタジオ）

まとめ

日映新社撮影所（目黒スタジオ）は、その短い歴史の中で、映画、テレビという映像メディアの変遷を象徴する存在でした。戦後の復興期から高度経済成長期、そして現代へと続く日本の社会の変化を、映像を通して見つめ続けた場所として、その記憶は留めておくべきでしょう。

参考文献
『日活五十年史』日活、1962年。
『映画年鑑 1977』時事映画通信社、1977年。
* 田中純一郎『日本映画発達史 III 戦後映画の解放』中公文庫、1980年。ISBN 4-12-200305-9。

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