日本における
プロテスタントの歴史は、明治時代初期に外国人宣教師が来日したことに始まります。以来、多様な宣教団体や教派が活動を展開し、独自の教会形成が進んできました。その結果、現代の日本の
プロテスタント界は、様々な神学的立場や歴史的背景を持つ、非常に多様な姿を呈しています。
この記事では、日本国内に存在する
プロテスタント(キリスト教)の主な教団、教派、宣教団体、そして特定の組織に属さない
単立教会などを、主要な系統や歴史的流れに沿って分類し、その全体像を紹介します。過去に合同や分離を経て消滅した団体についても、歴史的な流れの中で触れることがあります。
主要な系統・教派
聖公会系: イギリス国教会をルーツとする系統です。日本では
日本聖公会などが活動しています。
ルーテル派: ルターの宗教改革に始まる伝統を持つ系統です。
日本福音ルーテル教会や
日本ルーテル教団、
西日本福音ルーテル教会など、複数の団体が存在します。
改革派・長老派: カルヴァンの神学を受け継ぐ系統で、長老制という教会政治を特徴とします。日本で最初の
プロテスタント教会とされる
日本基督公会(横浜公会)や、
日本基督一致教会の流れを汲むグループが多く、現代では
日本キリスト改革派教会、
日本キリスト教会、
在日大韓基督教会などが知られています。
バプテスト派: 成人への浸礼(バプテスマ)を重視する系統です。
日本バプテスト連盟や
日本バプテスト同盟、
日本バプテスト教会連合など、様々な団体が活動しています。
会衆派教会: 各個教会の独立性を重んじる系統です。かつて
日本組合基督教会がありましたが、合同によって消滅しました。
メソジスト: ジョン・ウェスレーによって興されたリバイバル運動をルーツとする系統です。
日本自由メソヂスト教団や
日本ナザレン教団などがあります。
ホーリネス: 19世紀末に興った聖潔(ホーリネス)運動の流れを汲む系統です。
イムマヌエル綜合伝道団や
ウェスレアン・ホーリネス教団、
日本ホーリネス教団など、多様な団体が分派・発展しています。
ペンテコステ派・カリスマ派(聖霊派): 20世紀初頭に始まった聖霊運動にルーツを持ち、聖霊の働きや賜物を強調する系統です。
日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団、
日本フォースクエア福音教団、
純福音日本国内教会などがあり、近年はカリスマ派と呼ばれる聖霊の第三の波の流れを汲むグループも広がっています。
この他にも、メノナイト教会、アドベント教会、アライアンス、カベナント、信仰宣教団体系など、様々な歴史的・神学的背景を持つ系統や教団が日本国内で宣教活動を行っています。
歴史的背景と合同・分離
日本の
プロテスタント史において、特に重要な出来事として
日本基督教団の設立が挙げられます。これは第二次世界大戦中、当時の政府の宗教団体法により、多くの
プロテスタント諸派が強制的に合同して
1941年に成立しました。戦後、宗教団体法の廃止に伴い、合同に参加していた多くの教派が
日本基督教団から分離し、独自の歩みを再開しました。しかし、教団に留まった教会群はそのまま新たな教団として発展し、現在も日本の
プロテスタント界において大きな位置を占めています。
日本基督教団の中にも、合同前の教派の伝統を残す教会が存在するなど、多様な背景を持つ教会が共存しています。
特定の教派や教団の組織に属さず、個別の教会が独立して活動する
単立教会も全国各地に数多く存在します。これらの教会は、独自の信仰理解や活動を展開しており、中には開拓伝道によって生まれた教会も多くあります。
また、特定の教派の枠を超えて協力し合う
超教派団体も活発に活動しています。
日本福音同盟(JEA)や
日本キリスト教協議会(NCC)などが代表的で、それぞれ
福音派、エキュメニカル派といった立場の異なる団体や教会を結びつけ、宣教協力や社会活動に取り組んでいます。
その他のグループ
伝統的な教派分類に収まらない独立系の団体も多数存在し、多様な働きをしています。これらのグループの中には、キリスト教の主要な教義から外れているとされる団体(いわゆる「異端」)が含まれる場合もあり、その内容は多岐にわたります。
また、厳密には
プロテスタントの教会組織とは異なりますが、聖書にのみ基づく信仰を実践する
無教会主義も、
日本のキリスト教史において独自の地位を占め、その後の
プロテスタント神学や信仰に影響を与えています。
まとめ
このように、日本の
プロテスタントは、黎明期からの歴史の中で形成された様々な教派・系統に加え、合同と分離、そして独立した活動を行う教会や団体が入り混じり、極めて多様な様相を呈しています。この記事で挙げたのはその一部であり、実際にはさらに多くのグループが日本国内で活動しています。それぞれの団体が異なる歴史、神学、実践を持ちながら、日本社会の中でキリスト教の信仰を証ししています。
※本稿は網羅的なリストではなく、主要な分類や歴史的背景を概観することを目的としています。個々の団体についての詳細は、それぞれの公式情報等をご確認ください。