日本移動通信

日本移動通信株式会社（にっぽんいどうつうしん、英: IDO Corporation）は、かつて存在した日本の携帯電話事業会社です。現在のKDDI株式会社の前身企業の一つであり、現在KDDIが展開する移動体通信（携帯電話）事業「au」の前身となる事業を行っていました。略称はIDO（イドー、イドウ）です。

概要

IDOは、旧第二電電（DDIセルラーグループ、現KDDI）と営業エリアを分け合い、関東地方、甲信地方、東海地方の1都12県をサービス提供エリアとしていました。営業戦略においては、一部のキャンペーンを除き、「関東・中部エリア」を一体として捉えることが一般的でした。

当初、IDOはNTTの大容量方式（HiCAP）を採用し、エリア外ではNTT（後のNTTドコモ）のローミングサービスを利用していました。しかし、DDIセルラーグループが採用していたJ-TACS方式との互換性がなく、ローミングができないことが日米間の政治問題に発展しました。1989年の日米構造協議の結果、IDOも「TokyoPhone」（後のTACS Minimo）としてJ-TACS方式を並行して提供することになり、DDIセルラーグループとの提携・ローミングが実現しました。

その後導入されたデジタル方式（PDC方式）では、当初からDDIセルラーグループとのローミングを想定していましたが、ドコモとのローミングも継続されました。第三世代携帯電話では、アメリカ方式の採用を早期に表明し、先行方式である「cdmaOne」をDDIと共同で展開し、市場での優位性を確立しました。この時期、IDOのフラッグシップ機は、繋がりやすく、音質も固定電話並みに良好なcdmaOne端末が中心となりました。また、NTTドコモのCMに出演していた織田裕二を「cdmaOne」のCMに起用したことも大きな話題となりました。

cdmaOneの全国ネットワークの完成、PDC方式の廃止、そして第三世代携帯電話「CDMA2000」の共同展開を機に、2000年7月に両グループのブランドは「au」に統一されました。その後、2000年10月に、経営母体であった日本高速通信の後身であるKDDとともに、第二電電（DDI）に合併し、IDOはその歴史を終えました。

略歴

1987年（昭和62年）3月9日 - 日本高速通信、トヨタ自動車、東京電力、中部電力を中心に設立。筆頭株主は日本高速通信、トヨタが第二位株主。
1988年（昭和63年）12月15日 - アナログ式自動車電話事業を開始。
1994年（平成6年）6月 - PDC方式のデジタル携帯電話サービスを開始。
1996年（平成8年）11月 - 東京テレメッセージとポケベル一体型携帯電話「デジタルミニモ D320」を発売。
1997年（平成9年） - 社名の英文表記を「NIPPON IDOU TSUSHIN CORPORATION」から「IDO CORPORATION」へ変更。
1999年（平成11年）4月14日 - cdmaOneサービスを開始。
2000年（平成12年）
7月1日 - DDIセルラーグループとブランド名称を「au」に統合。
10月1日 - 第二電電株式会社に合併し解散。

関連項目

テレメッセージ: ポケベル事業を行っていた企業。
亡霊学級: ビデオ発売時、IDOの携帯電話が当たるキャンペーンを実施。
DDIセルラーグループ: IDOと同様に、各地の電力会社が出資。TACS・PDCでは相互ローミングを行い、端末は基本的に同一仕様であったが、一部機種はどちらかのみで発売。
* アステルグループ: IDOやDDIセルラーと同様、各地の電力会社が出資。

IDOは、技術革新の波に乗りながら、日本の携帯電話業界の発展に大きく貢献した企業でした。その歴史は、auブランドの礎となり、今日のKDDIへと繋がっています。

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