早鞆 (給油艦)

早鞆（はやとも）

概要

早鞆は、大日本帝国海軍に所属していた特務艦で、隠戸型給油艦の2番艦です。その名は関門海峡の狭い水路「早鞆瀬戸」に由来しています。この艦は、多くの重要な海上任務を遂行し、その歴史に名を刻んでいます。

艦歴

早鞆は、大正12年度艦艇補充計画に基づき、呉海軍工廠で1924年5月18日に竣工しました。その後、佐世保鎮守府に配属され、北アメリカからの石油輸送に従事しました。しかし、就役早々の1924年6月11日、サンフランシスコへの航行中に主機械が故障し、艦は佐世保に戻らざるを得ない事態となりました。

1925年4月にはサンフランシスコを出港する際、桟橋のボラードを破損させ、85ドルの損害賠償を支払う事故も経験しました。また、1928年2月4日には関門海峡で帆船を避けようとして座礁する事故に遭いました。

1941年10月31日、早鞆は第三艦隊に付属され、フィリピン攻略戦著しい進出を果たしました。1941年12月8日には太平洋戦争が始まり、フィリピンにおける諸艦艇への補給任務に従事しました。レガスピにおける攻略戦では護衛隊に随行し続け、12月14日には敵の爆撃を受けて損傷を負いましたが、作戦は順調に進んだ結果、12月28日には佐世保へ帰投しました。

その後、早鞆は蘭印作戦や西部ニューギニア攻略戦にも参加しましたが、1942年8月23日にアンボン沖でアメリカ潜水艦スキップジャックの攻撃を受けて再度損傷を負いました。昭南（シンガポール）の軍港に入港し、本格的な修理が施されましたが、1943年9月13日に出港後の石油輸送任務でさらなる苦難に見舞われました。

1944年10月9日、帰途のマニラからアメリカ潜水艦キングフィッシュの雷撃を受け、損傷しました。タラカンでの応急修理後、バリクパパンを経由して1月8日にセレター軍港に到着しましたが、機関の状態が悪化し、戦闘に出ることができなくなりました。

1945年に終戦を迎え、早鞆は中破した状態でイギリス海軍に接収され、その後1946年には海没処分されました。1947年には正式に除籍されました。

特務艦長と艤装員長

早鞆の艤装員長には近藤直方大佐が1923年から1924年まで、また特務艦長として青木国太郎中佐が就任し、その後大佐に昇進した事もありました。そのほかにも多くの艦長が就任し、それぞれの時期において艦の指揮を執りました。

同型艦

早鞆と同型の艦には、隠戸（おんど）と鳴戸（なると）が存在し、いずれも特務艦として様々な任務を遂行しました。

文献参考

早鞆に関する詳細な情報は、アジア歴史資料センターや日本海軍史に基づいています。また、特務艦早鞆に関わるさまざまな文献や記録も存在し、艦の歴史を理解する上での重要な資料となっています。

早鞆は歴史的な背景を持ち、多くの艦艇と共に海上での激しい戦いを経た艦の一つであり、艦艇の歴史において重要な役割を果たしました。

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