書道用語一覧

書道用語辞典

書道は、単なる文字の書き方にとどまらず、歴史、文化、哲学が深く結びついた芸術です。この辞典は、書道の世界をより深く理解するための用語を網羅的に解説します。

あ行

当たり: 筆を運ぶ途中で方向を変える際、穂先を軽く打ち付けるように筆圧を加える技法。
暗書: 手本の字形や筆使いを記憶し、手本を見ずに書く練習方法。
意連: 作品全体を通して、または一文字の中で、筆の運びや表現に一貫した意図を持たせること。形連と対比される。
陰刻: 印章を作成する際、文字の輪郭線を彫り下げて文字を凹状に表現する技法。陽刻の反対。
引首印: 書作品の右上に押される印。作品の風格を高める効果がある。
院体: 中国、徽宗の時代に確立された、画一的で技巧に偏った書風。王羲之の書を模範とした。
韻致: 書作品から感じられる、優雅で洗練された趣。

か行

楷行: 楷書に近い行書。整った印象を与える。
概形法: 文字の全体的な形状を把握し、その特徴を捉えて覚える学習法。
楷書: 書体の基本となる書体。点画を明確に書き、整った印象を与える。
渇筆: 筆の水分が少なく、かすれた線を生み出す技法。独特の表現を生み出す。
仮名: 漢字を基に日本で生まれた文字。平仮名と片仮名がある。
勧縁疏: 寺社の建立や修繕のために、寄付を募る際に作成される文書。書道作品としても価値が高い。
間架結構: 文字の各部分の配置やバランスを考慮し、美しい文字を構成する技法。
漢詩: 中国で生まれた詩の形式。書作品の題材としてよく用いられる。
漢文: 中国語で書かれた文章。書道作品の題材となる。
干禄体: 中国の官吏登用試験で求められた、整った書体。個性を抑え、正確さを重視する。
揮毫: 筆をふるって文字や絵を描くこと。書家にとって重要な行為。
亀甲獣骨文字: 殷の時代に使われた、亀の甲羅や獣の骨に刻まれた文字。漢字の起源。
起筆: 書き始めの筆の動き。書道の基本。
行書: 楷書を崩した書体。流れるような表現が特徴。
狂草: 草書をさらに大胆に崩した書体。高度な技術と表現力が必要。
金石学: 青銅器や石碑に刻まれた文字を研究する学問。書道の歴史を知る上で重要。
金文: 殷周時代の青銅器に刻まれた文字。書体の変遷を知る手がかりとなる。
空画: 筆が紙面から離れて移動する際にできる、目に見えない線の動き。

さ行

作意: 作品を制作する意図や目的。率意の対義語。
三跡: 小野道風、藤原佐理、藤原行成の三人を指す。日本の書道史における重要な人物。
三筆: 空海、嵯峨天皇、橘逸勢の三人を指す。平安時代初期の代表的な書家。
自運: 手本を見ずに、自分のイメージで自由に書くこと。
字書: 漢字の字形、意味、用法などを解説した書籍。書道学習の必需品。
字体: 文字の書体。楷書、行書、草書、隷書、篆書などがある。
実画: 実際に筆で描かれた線や点。
写経: 仏教経典を書き写すこと。精神修養の意味も持つ。
秀勁: 書画の筆勢が力強いこと。
集字: 古典の書跡から文字を集め、作品を構成すること。高度な知識と技術が必要。
収筆: 書き終わりの筆の動き。起筆と対をなす。
象形文字: 物の形を模して作られた文字。漢字の起源。
小篆: 篆書の一種。秦の始皇帝が制定した統一文字。
書家: 書を専門とする人。高度な技術と知識を持つ。
書聖: 特に優れた書家を称える言葉。王羲之が有名。
書体: 文字の様式。楷書、行書、草書などがある。
書法: 書の技法。筆の持ち方、運び方、墨の使い方など。
書論: 書について論じたもの。書の歴史、技法、美学などが語られる。
心画: 書は人の心の表現であるという考え方。

た行

大篆: 篆書の一種。小篆よりも古い書体。
題跋: 書画の末尾に記される文章。作品の評価や感想などが書かれる。
拓本: 石碑などに刻まれた文字を紙に写し取ったもの。貴重な資料となる。
篆刻: 印章を彫ること。書道と深い関わりを持つ。
篆書: 古代中国で生まれた書体。文字の起源に近い。
伝称筆者: 作者が特定できない作品に、伝承的に付けられた作者名。
転折: 筆画が方向を変える部分。重要な表現要素。

な行

能書: 書の上手な人。優れた書家。

は行

破体: 異なる書体を一つの作品に混在させる技法。
波磔: 隷書の特徴的な筆画。横画の終わりに現れる。
発墨: 墨の磨り具合が良いこと。
碑学: 石碑の文字を研究する学問。書道の歴史を知る上で重要。
筆圧: 筆にかかる圧力。線の太さや濃淡を変化させる。
筆意: 筆を運ぶ際の意図や感情。
筆架: 筆を置くための道具。
筆画: 文字を構成する線や点。
筆管: 筆の軸。
筆耕: 文字を代筆すること。
筆触: 筆と紙の摩擦の仕方。
筆勢: 筆の勢い。力強い表現を生み出す。
筆跡: 文字の書き癖。個性を表す。
筆致: 筆の運び方や表現。
筆鋒: 筆の穂先。
筆法: 筆の使い方の技法。
筆脈: 筆の動きのつながり。
筆力: 筆の勢い。力強い表現を生み出す。
飛白: 筆の毛がかすれてできる白い部分。独特の表現を生み出す。
平仮名: 日本で生まれた文字。漢字を簡略化したもの。
布置法: 文字や全体の配置。作品の印象を左右する。
文房四宝: 筆、墨、硯、紙のこと。書道に欠かせない道具。
倣意: 古人の書風を真似て書くこと。
法書: 手本となる優れた書。
法帖: 古人の書を石に刻み、拓本を採ったもの。
方勢: 角ばった筆使い。
鋒鋩: 墨道の微細な突起。墨を磨る上で重要。
墨汁: 墨を磨って作った液体。
墨跡: 書の作品。特に禅僧の書を指すことが多い。
墨猪: 筆画が太く、締まりのない状態。
墨道: 硯の墨を磨る部分。

ま行

摩崖碑: 自然の岩壁に刻まれた文字。
巻物: 紙を horizontal に繋いで巻いたもの。
麻紙: 麻を原料とした紙。
磨墨: 墨を硯で磨ること。
真名: 漢字のこと。
万葉仮名: 万葉集で使われた、漢字を音や訓で用いた表記法。
毛筆: 動物の毛で作られた筆。
模刻: 原本を真似て彫刻すること。
模写: 原本を真似て書くこと。
木簡: 木に文字を書いたもの。

や行

羊毫: 羊の毛で作られた筆。
用筆: 筆の使い方。
抑揚: 筆の上げ下げや強弱。
余白: 書画の空白部分。

ら行

落款: 書画に作者名や制作年などを記すこと。
六書: 漢字の成り立ちの6つの原則。
隷書: 篆書を簡略化した書体。
連綿: 草書で文字を続け書きする技法。
露鋒: 筆の穂先を出す書き方。

わ行

和様: 日本独自の書風。
腕法: 腕の使い方。

この辞典は、書道の世界への扉を開き、その奥深さを探求するための一助となることを願っています。

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