木庵性瑫

木庵性瑫（もくあん しょうとう）は、江戸時代前期に明国（中国）から日本へ渡来した臨済宗黄檗派（黄檗宗）の僧侶です。俗姓は呉氏で、慧明国師の勅諡号を受けています。彼は福建省泉州府晋江県の出身です。

生涯

木庵は16歳で出家し、開元寺の印明の門に入りました。崇禎2年（1629年）に得度し、その後、杭州、天童山、西湖などを巡り修行を重ねました。28歳の時には、金粟山の費隠通容に参禅し、費隠のもとで副寺、侍者、知賓を経て維那にまで昇進しました。その後も、紹興や天台山などを遍歴しました。

順治5年（1648年）、天童山の費隠のもとへ行こうとしましたが、戦乱のため果たせず、中国黄檗山に登り隠元隆琦からその法を受けました。順治7年（1650年）より剣石の太平寺に住職として迎えられました。順治10年（1653年）には、太平寺の住持を即非如一に譲りました。

順治11年（1654年）に来日していた隠元に招かれ、翌順治12年（明暦元年/1655年）に来日し、長崎の福済寺の住持となりました。万治3年（1660年）には摂津国の普門寺、寛文元年（1661年）には山城国宇治の黄檗山萬福寺に入り、寛文4年（1664年）9月4日に隠元の法席を継承しました。寛文5年（1665年）には江戸に下り、4代将軍徳川家綱に謁見し、手厚い待遇を受けました。江戸紫雲山瑞聖寺を初めとする10余りの寺院を開創し、門下生は50人以上に及びました。寛文9年（1669年）には、将軍より紫衣を賜りました。

延宝8年（1680年）2月、黄檗山の法席を第3代の慧林性機に譲り、山内の紫雲院に隠退しました。貞享元年1月20日（1684年3月6日）、病により74歳で入寂しました。

書家として

木庵は能書家としても知られ、その書風は中国人ならではの特色を持っていました。隠元、即非とともに黄檗三筆と称されています。三人の書風には共通点があり、隠元の書は「穏健高尚」、木庵の書は「雄健円成」、即非の書は「奔放闊達」と評され、「唐風」あるいは「黄檗風の書」として珍重されています。

関連項目

日本の篆刻史
日本の篆刻家一覧
篆刻
三筆
日本の書道史
日本の書家一覧
河村若芝
范道生

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