木村浩吉 (海軍軍人)

木村 浩吉（きむら こうきち）は、幕末から昭和初期にかけて活躍した日本の海軍軍人です。文久元年（1861年）7月23日に江戸で、幕臣である木村芥舟（摂津守）の二男として生を受けました。最終階級は海軍少将に至り、従四位勲三等功四級の栄典を授けられています。

幼少期から海軍兵学校卒業まで

幼少期を江戸で過ごした後、明治3年（1870年）には横浜に移り、実業家として知られる早矢仕有的が開いた塾で学びました。その後、海軍の道を志し、海軍兵学校に入学します。第9期の生徒として学業に励み、明治15年（1882年）11月に卒業を果たしました。卒業時の席次はハンモックナンバー第3位という極めて優秀な成績でした。

海軍士官としての歩みと日清戦争

兵学校卒業後、明治18年（1885年）8月には海軍少尉に任官し、海軍士官としてのキャリアをスタートさせます。艦艇での勤務を経て、日清戦争においては巡洋艦「松島」の水雷長を務めました。特に黄海海戦では、水雷長として戦闘に参加し、その詳細な様子を克明に記録しました。この時の記録は後に書籍として出版され、当時の海戦の実相を知る上で極めて重要な史料として、今日でも高く評価されています。

多様な役職と日露戦争

日清戦争終結後も、木村浩吉はその能力を買われ、様々な要職を歴任します。大本営御用掛や軍令部出仕、同部諜報課員、同部第3局員などを務めた後、海軍大学校に選科学生として入学し、より高度な軍事知識を習得しました。大学校で学んだ後は、海大教官として後進の指導にあたる一方、「厳島」や「敷島」といった主要艦艇の副長、「愛宕」「扶桑」では艦長を務めるなど、実戦部隊の指揮経験も積みました。また、横須賀水雷団長心得や砲術練習所長も兼務するなど、水雷術や砲術といった専門分野にも深く関わりました。日露戦争においては、病院船「日光丸」の艦長として戦地に出征しています。

昇進と晩年

明治37年（1904年）7月、海軍大佐に進級しました。その後も、佐世保鎮守府付、呉水雷団長、水雷術練習所長、海軍水雷学校長、再び佐世保水雷団長など、主に水雷関連の要職を歴任し、この分野における専門家としての地位を確立しました。明治42年（1909年）12月には海軍少将に進級し、舞鶴水雷団長を務めました。大正元年（1912年）12月、予備役に編入され現役を離れ、その後大正6年（1917年）7月23日には後備役となりました。最終的に、大正11年（1922年）7月に海軍から完全に退きました。昭和15年（1940年）1月14日、78歳でその生涯を終えました。

栄典

木村浩吉は、海軍軍人としての功績に対し、多数の位階と勲章を授与されています。主なものは以下の通りです。

位階
明治18年（1885年）10月26日：正八位
明治23年（1890年）10月15日：従七位
明治24年（1891年）12月16日：正七位
明治30年（1897年）3月1日：従六位
明治31年（1898年）3月21日：正六位
明治36年（1903年）5月20日：従五位
明治42年（1909年）7月10日：正五位
大正元年（1912年）12月28日：従四位

勲章等
明治28年（1895年）：勲六等瑞宝章、単光旭日章、功五級金鵄勲章、明治二十七八年従軍記章
明治33年（1900年）：勲五等瑞宝章
明治35年（1902年）：明治三十三年従軍記章
明治37年（1904年）：勲四等瑞宝章
明治39年（1906年）：功四級金鵄勲章、勲三等旭日中綬章、明治三十七八年従軍記章
大正4年（1915年）：大礼記念章（大正）

家族

木村浩吉の家族としては、弟に海軍技師として知られる木村駿吉がいました。妻は市川兼恭の七女である千（ち）です。

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