朱燾

朱燾（しゅ とう）

朱燾（生没年不詳）は、中国東晋時代の軍人であり、字や詳しい出自は明らかになっていません。彼は主に東晋の勢力拡大に貢献し、その武勇と忠誠心で知られています。彼の息子には、同じく東晋の将軍である朱序がいます。

生涯

朱燾は東晋に仕え、当初は揚烈将軍である王允之の司馬を務めていました。彼の軍事的な才能は、早くから認められていたようです。

蘇峻の乱における活躍

咸和3年（328年）5月、朝廷の実権を掌握した驃騎将軍蘇峻に対し、撫軍将軍王舒が義軍を組織して抵抗しました。王舒は朱燾、王允之、将軍徐遜、陳孺に精鋭3千を与え、武康に拠点を置く蘇峻軍を急襲させました。この奇襲は成功し、蘇峻軍に数百の斬首を出す大打撃を与え、彼らを敗走させることに成功しました。王允之は蘇峻軍の兵器を接収し、輔国将軍虞潭を支援しました。

咸和4年（329年）2月、蘇峻の部将である韓晃と馬雄が故鄣に転進しました。王允之は朱燾と何準らを虞潭の援軍として派遣し、戦闘に参加させました。虞潭軍は強力な弩を用いて韓晃らを打ち破り、千人以上を討ち取り、2千人以上の降伏兵を得るという大きな戦果を挙げました。

庾翼の司馬として

その後、朱燾は安西将軍庾翼の司馬に任じられました。庾翼の下で、彼はさらに軍事的な経験を積み、その能力を磨きました。

南蛮校尉として反乱鎮圧

永和元年（345年）6月、朱燾は南蛮校尉に任じられ、1千の兵を率いて巴陵を守備しました。同年7月、庾翼が亡くなると、庾翼の部将であった干瓚と戴羲が反乱を起こし、冠軍将軍曹拠を殺害しました。朱燾は安西長史江虨、建武司馬毛穆之、将軍袁真らと共にこの反乱を鎮圧するために奔走しました。彼の迅速かつ果断な行動が、反乱の早期鎮圧に大きく貢献しました。

鎮圧後、その功績により龍驤将軍に任じられました。

益州平定

永和5年（349年）4月、朱燾は益州刺史周撫と共に、皇帝を自称する范賁を討伐し、益州を平定しました。この功績により、彼は西蛮校尉兼益州刺史に任じられました。

これ以降、朱燾の事績は史書に記述されていません。しかし、彼の蘇峻の乱における活躍や、その後の反乱鎮圧、益州平定への貢献は、東晋の安定に大きく寄与したと言えるでしょう。

参考文献

『晋書』巻8、巻58、巻73、巻76
『資治通鑑』巻97 - 巻98

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