李膺 (後漢)

李膺（り よう）について

李膺は、中国の後漢時代に活躍した官僚であり、彼の生涯は波乱に満ちていました。彼の本貫は趙郡であり、潁川郡襄城県の出身です。李膺の家系は名望が高く、祖父の李脩は安帝の時代に太尉を務め、父の李益は趙国の相を担っていました。

李膺は生まれつき礼法にこだわらない性格だったとされており、温和でありながらも独立した人間関係を築くことを好んでいました。彼は同郡出身の荀淑や陳寔を師友として尊敬し、彼らとの交流を持ったことが知られています。

生涯の初期

李膺は最初、孝廉として推薦され、司徒の胡広からの招きを受けます。ここでの試験では優れた結果を残し、その後青州刺史へと昇進します。彼のもとで働いた太守や県令は彼の威厳や洞察力に驚き、多くは辞任してしまいました。彼はその後、漁陽太守や蜀郡太守としても任じられましたが、高齢の母を思い赴任を辞退します。

数年後、李膺は護烏桓校尉に任命されると、鮮卑族の度重なる侵入を効果的に迎撃し、彼らの恐れを買いました。しかし、ある公務の事件で失脚し故郷に帰り、教育者として活躍します。彼の教室には常に千人を超える学生が集まりました。その評価の高さから、後漢の荀爽とも面会し、彼の教えを受けることができたと報告されています。

軍事的な才能

永寿2年（156年）、鮮卑の侵攻を受けて、桓帝は李膺の能力を認め、彼を度遼将軍に任命しました。彼は、その指揮のもとで多くの部族の侵略を防ぎ、捕らえた婦女や子どもたちを無事に帰還させました。これにより李膺の名声は天下に広まり、多くの人々から支持を受けるようになります。

政治的な葛藤とその後の人生

延熹2年（159年）、李膺は河南尹に任命されますが、ここでの政治的な対立に直面します。特に、豪族の羊元群との官物横領事件で悩まされ、逆に自らが罪に問われることとなりました。彼を弁護した者の意見もあったものの、宦官の恣意的な政治が李膺にとっての大きな障害となります。

その後も李膺は、宦官の影響が強い朝廷内で、彼自身の信念を貫き通し続けました。彼に対する恐れから、他の官僚たちも李膺のもとへ簡単には接触できなくなりました。彼の信義に対する姿勢は、周囲から尊敬されていた一方で、敵を生む原因にもなってしまいます。

名声の高まりと厳しい現実

166年には党錮の禁により、大勢の官僚が逮捕される事態が発生し、李膺もその一人として牢に入れられました。しかし、彼の名声の高さに気づいた者たちが彼を救おうとし、結果として彼は放免されることになります。追放後、李膺は再び政治の場に戻りますが、さらなる暗闘の中で再び野に下ることとなるのです。

169年に入ると、張倹の事件が発生し、李膺は再び囚われる運命にあります。彼は忠誠を尽くすることを選び、詔獄に自首し、拷問の末に命を落としました。その後、彼の家族は辺境へと移され、彼に関与した者たちにも厳しい処罰が下されました。

李膺の遺志

彼には李瓚という子がいましたが、李膺の教えは世代を超えて引き継がれ、特に曹操に対する高い評価が伝えられています。李膺の生涯は、政治の難しさと信義の重要性を教えており、彼の子孫は彼の意志を受け継ぎ、乱世のなかで生き延びることとなりました。彼の故事は、後世においても多くの人々に語り継がれています。

もう一度検索