東峰神社

東峰神社の概要

東峰神社（とうほうじんじゃ）は、千葉県成田市東峰にある神社です。成田空港のB滑走路南端付近に位置し、空港の敷地に囲まれているという特異な場所にあります。この神社は、単なる地域住民の信仰の場というだけでなく、成田空港問題における歴史的な経緯や複雑な背景を抱えています。

歴史

東峰神社の始まりは、1937年に民間航空のパイオニアであった伊藤音次郎が、航空事故で亡くなった人々を祀るために、千葉県津田沼町（現在の習志野市）の工場敷地内に建立した「航空神社」でした。当時の御神体は、空難で亡くなった8名の氏名を記した木札でした。

第二次世界大戦後、航空業を追われた伊藤は、従業員と共に遠山村（現在の成田市）東峰地区へ入植し、農場主となりました。その後、集落での話し合いにより、1953年 11月23日に航空神社が現在の場所に移設されました。その際、新たに二宮尊徳を祭神として迎え、勤労の神として信仰されるようになりました。その後、神社は「東峰神社」と名前を変え、地域の産土神として住民から信仰されてきました。

しかし、新東京国際空港（現在の成田国際空港）の建設に伴い、2001年9月に再び「航空神社」として、山武郡芝山町にある航空科学博物館の野外展示場へ遷座しました。現在は、航空科学博物館のミュージアムショップで、航空神社の御守が販売されています。

境内の状況

現在の東峰神社は、成田空港のB滑走路に隣接しており、空港敷地に囲まれています。神社の敷地は、B滑走路の建設予定地の一部でしたが、反対運動などの影響で、滑走路は神社を避けるように建設されました。境内には、比較的新しい石鳥居と石灯籠が設置されていますが、祠は小さく、御神体は安置されていません。かつては手水鉢もありましたが、現在は水がありません。神社へのアクセスは、車一台が通れる幅の一本道のみで、周囲は高いスチール製の塀で囲まれ、有刺鉄線や人感センサー、監視小屋などが設置されており、警備員が常時監視を行っています。空港敷地側からは、網目状になった箇所から境内を監視できるようになっています。また、神社の周囲は空港内道路が敷かれており、定期的に警備車両が巡回しています。

神社をめぐる紛争

東峰神社の敷地は、元々は集落住民の共有地とされていましたが、2001年に空港公団（現在の成田国際空港株式会社の前身）に所有権が移転されました。その後、空港公団は航空機の飛行の妨げになるとして、境内の樹木を伐採しました。この伐採に反発した反対同盟が空港公団を提訴し、新左翼団体などの支援もあって、大きな社会問題となりました。その後、2003年に土地登記名義の回復を内容とする和解が成立しました。

アクセス

東峰神社へは、千葉県道44号線を通って東峰地区に入ると到着します。ただし、周辺に駐車場はありません。公共交通機関を利用する場合は、千葉交通・栗源線「新田」バス停、または成田市コミュニティバス津富浦ルート「東峰」バス停で下車し、徒歩でアクセスします。

その他

東峰地区は、成田空港問題における反対運動が特に活発な地域です。東峰神社は、元々「航空神社」であったことから、皮肉にも反対運動の象徴とされています。かつては、過激派などによる空港施設への破壊工作を防ぐため、多数の警察官が周辺を巡回し、訪問者は頻繁に職務質問を受けていました。現在では、比較的自由に参拝できるようになりましたが、万が一に備えて身分証明書を携帯することが推奨されています。

2014年公開のドキュメンタリー映画『三里塚に生きる』のポスターには、東峰神社の上空を通過する旅客機の写真が使用され、成田空港問題を象徴する場所として描かれています。

また、津田沼から東峰に移転した後も、長らく「航空神社」という通称が用いられていたため、成田での空港建設計画が出た際には、東峰地区の人々は「この神社が空港を呼び込んだのではないか？」と訝しがったという逸話も残っています。

ギャラリー

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外部リンク

* 革命的共産主義者同盟全国委員会『三里塚現地日誌』「☆☆ 週刊『三里塚』のある編集委員の薀蓄（うんちく）講座 ☆☆」（中核派系サイト）

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