東港駅

東港駅（とうこうえき）

東港駅は、愛知県名古屋市南区滝春町に所在する、名古屋臨海鉄道が運営する貨物駅です。駅構内の西側の一部は、名古屋市港区にも跨がっています。

名古屋臨海鉄道の路線網において、東港線、南港線、昭和町線、汐見町線、東築線といった主要な路線が接続する、極めて重要な中枢拠点としての役割を担っています。また、名古屋臨海鉄道の本社がこの駅の最寄りに位置しています。

駅の構造

当駅は、十数本に及ぶ着発線や側線を有する広大な地上駅です。各方面から到着した貨車を受け入れ、それぞれの目的地へと仕分けるための操車場としての機能が非常に発達しています。構内の東端には、名古屋臨海鉄道が保有する車両の保守・管理を行う東港機関区があり、隣接して貨車の検修庫も設置されています。さらに、一部の私有貨車にとっては常備駅として指定されており、定期的な保守や保管が行われています。

駅から南へ約3キロメートル離れた東海市新宝町には、南港線から分岐して三洋化成工業名古屋工場へ至る専用線が存在します。この分岐点付近には、本線に加え、貨車の仕分けに使用する側線、そして専用線本体と、仕分線および専用線に接続するための引き上げ線が敷設されています。この専用線内での貨車の入換作業は、本線上を運行する名古屋臨海鉄道のディーゼル機関車が担当しています。

取り扱い貨物

東港駅では、主に専用線を発着するコンテナ貨物と車扱貨物を取り扱っています。現在、最も主要な取扱品目は、三洋化成工業専用線に到着する化学薬品です。具体的には、液体酸化エチレンや水酸化ナトリウム（苛性ソーダ）などが挙げられます。苛性ソーダは、主に昭和町駅（東亞合成名古屋工場）などからタンク車によって輸送されていました。一方、液体酸化エチレンは、コンテナ車に積載されたISOタンクコンテナを用いて、千鳥町駅（日本触媒川崎製造所千鳥工場）などから輸送されています。かつてこの液体酸化エチレンの輸送にもタンク車が使用されていましたが、2008年（平成20年）にタンクコンテナ方式へ切り替えられました。

過去には、駅の西隣に位置していた矢作製鉄（現在の「中部リサイクル」）へ続く専用線が存在し、銑鉄やケイ化カルシウム、硫化鉱物といった貨物が輸送されていました。

歴史

東港駅は、1965年（昭和40年）8月20日にその歴史を開始しました。開業当初から矢作製鉄専用線が当駅所属となり、構内には従事員詰所や機関庫が順次新設されました。開業翌年の1966年には、2番線の増設や東築線への仮連絡線が使用を開始するなど、早くも施設の拡張が進められました。1967年には北部構内従事員詰所が増築されて駅本屋として利用されるようになり、同年には東港機関区が東港車両区に改組されています。

1968年（昭和43年）には50番線が新設され、同年9月1日には南港線が開業し、当駅の接続路線が増加しました。国鉄からの貨車集結業務を受託するなど、業務内容も拡大しています。その後も、1969年には三洋化成工業専用線が新設され、駅本屋の増築、信号設備の整備、構内主要分岐器の電動化など、輸送能力増強のための改良が続けられました。

1970年代以降も、駅本屋の増築（1971年）、60番線の新設（1973年）、信号扱所の改築（1976年）といった設備投資が行われました。特に1976年には東港車両区が廃止され、新たに東港機関区と東港貨車検修区が設置されるなど、組織改編もありました。構内レールの重量化や、着発線・側線の有効長延長工事も順次行われ、大規模な貨物取扱に対応できる体制が強化されていきました。

1982年（昭和57年）4月26日には東築線が正式に開業し、名古屋臨海鉄道の路線網における当駅の重要性がさらに増しました。1983年には職員向けの図書室が開設されるなど、福利厚生施設も整備されています。国鉄の電算端末機増設（1985年）や、構内での自動車関連事業（分解整備、鈑金塗装）の営業開始（1986年、1989年）といった関連事業も展開されました。

1994年（平成6年）4月1日からは、無線による入換作業が導入され、作業効率の向上が図られています。また、関連事業として構内の空き地を利用した果樹栽培（キウイ、スダチ、柿など）が一時行われていた時期もありました（1985年度から）。

駅周辺と隣駅

駅周辺には、大同大学、中部リサイクル（旧矢作製鉄）、東亞合成名古屋工場などの施設が点在しています。最寄りの旅客駅としては、名鉄常滑線の大同町駅が比較的近い位置にあります。

名古屋臨海鉄道における当駅の隣駅は以下の通りです。

東港線：笠寺駅 - 東港駅
南港線：東港駅 - 名古屋南貨物駅
汐見町線（休止）：東港駅 - 船見町駅
昭和町線（休止）：東港駅 - 昭和町駅
東築線：東港駅 - 名電築港駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧

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