桜通り (宇都宮市)

桜通り：宇都宮の街路と歴史

桜通りは、栃木県宇都宮市の市街地西部を南北に貫く幹線道路です。その歴史は、明治時代初期、第14師団の宇都宮駐屯にまで遡ります。師団の施設を繋ぐ道路として整備された当初は、軍道、あるいは幅員が約18mあったことから「10間道路」と呼ばれていました。

注目すべきは、道路整備と同時に5000本ものソメイヨシノが植えられたことです。大正時代には立派な桜並木となり、春には花見客でにぎわい、市民の憩いの場として親しまれました。しかし、太平洋戦争末期には、米軍機の空襲から通行人を守る防空壕の役割も担うこととなり、戦後にはアメリカシロヒトリの被害や道路拡幅工事のため、惜しまれつつも桜並木は伐採されました。

現在では、桜並木は消滅しましたが、市民に愛された「桜通り」という名称と、その歴史を記した記念碑が、この地の歴史を語り継いでいます。

桜通りの歴史と国道の変遷

桜通りの一部区間は、明治時代に制定された国道の路線に含まれていました。明治18年の太政官布達により「明治国道」が制定されると、宇都宮市内には陸羽街道を踏襲する国道6号が指定されました。その後、第14師団の駐屯に伴い、1911年には材木町から第14師団があった河内郡国本村（現在の宇都宮市）までの区間が国道60号として新たに指定され、1920年には国道29号に番号変更されました。

桜通りの北部区間は、現在国道119号の一部として管理されていますが、明治国道60号または旧国道29号の一部であったことを明確に示す資料は少ないです。しかしながら、口承によると、明治国道60号は旧日光街道（現在の清住町通り）を踏襲した経路であったとされています。当時の国道は幅員7間（約13m）以上が求められており、清住町通りは幅員が不足していたため、材木町から松原町まで直線的に道路を付け替え、拡幅計画のもと国道指定されたと考えられています。そのため、伝馬町交差点から第14師団司令部があった国本村戸祭（現在の国立栃木病院）に至る区間が、明治から昭和戦後にかけて国道として管理されていたと推測されます。戦後、国道119号となった区間を除き、桜通りは二級国道や主要地方道には指定されませんでした。

桜通りの区間と現在の道路管理

「桜通り」は、桜並木の存在に由来する一般呼称です。桜並木は、第14師団司令部があった中戸祭一丁目（現在の国立栃木病院）付近から野砲兵第20連隊があった睦町（現在の宇都宮短期大学附属高校）付近まであったとされ、この区間が「桜通り」の範囲とされています。現在では、JR宇都宮駅から西に伸びる大通りとの交差点（桜2丁目交差点）を「桜通り十文字」と呼び、その南側と北側の一部区間を「桜通り」と呼んでいます。

現在、「桜通り十文字」以南は栃木県道2号宇都宮栃木線、以北は国道119号に指定されています。

桜通りと周辺環境

桜通り沿線には、かつての第14師団関連施設があったことから、現在は教育機関や病院などの公共施設が多く、栃木県屈指の文教地区となっています。

主な施設（南側から順に）
栃木県立博物館
栃木県中央公園
宇都宮短期大学附属中学校・高等学校
文星芸術大学附属中学校・高等学校
宇都宮市立桜小学校
地方合同庁舎
足利銀行本店
栃木県立美術館
宇都宮大学共同教育学部附属中学校
宇都宮大学共同教育学部附属小学校
宇都宮大学共同教育学部附属幼稚園
宇都宮市立戸祭小学校
栃木県労働福祉センター
プレリオン戸祭
栃木県体育館（プール館、武道館、弓道館を含む）
国立病院機構栃木医療センター

桜通りの交通

桜通りは、宇都宮市西部住宅街を南北に貫く重要な道路であり、関東バスの路線バス網が通っています。しかし、桜通り全区間を運行する路線はなく、桜2丁目交差点（桜通り十文字）を経由してJR宇都宮駅と桜通りの南北地域を結ぶ路線が運行されています。各区間で毎時2本以上のバスが運行されています。

まとめ

桜通りは、軍道としての歴史、美しい桜並木、そして現在の文教地区としての役割など、多様な側面を持つ宇都宮市の重要な道路です。その歴史と現在を理解することは、宇都宮市の発展を知る上で重要な要素となるでしょう。

もう一度検索