梁犢

梁犢（りょう とく）

梁犢は、五胡十六国時代の後趙に仕えた人物で、定陽の出身とされています。

生涯

後趙に仕え、皇太子石宣に近侍していました。石宣は、東宮の衛士を選抜する際、力の強い者を「高力」と名付け、梁犢はその督将に任じられました。

348年、石宣が秦公石韜殺害の罪で処刑されると、翌349年、石虎が即位し大赦を下しますが、東宮の衛士たちは石宣の罪により流刑に処されます。梁犢もその一人として涼州へ送られることとなりました。

雍城に到着した一行は、雍州刺史張茂から馬を奪われ、鹿車（手押しの一輪車）で食糧を運搬させられるという過酷な仕打ちを受けます。これに衛士たちの不満が爆発寸前となると、梁犢は彼らの不満を利用し、反乱を起こして東へ帰還することを決意します。胡人の頡独鹿微を通じて計画を伝えると、衛士たちは歓喜し、梁犢に従うことを誓いました。

梁犢は自らを東晋の征東大将軍と称し、衛士を率いて下弁を攻略。張茂を大都督・大司馬に祭り上げ、軺車に乗せます。安西将軍劉寧が鎮圧に現れますが、返り討ちに遭いました。

高力は皆、力が強く射術に長けており、一人で十人以上に匹敵する戦闘力を持っていました。武器や防具を持たない者は、民から斧を奪い、長い柄を付けて戦い、その姿は戦神のようだったと伝えられています。梁犢軍は破竹の勢いで郡県を制圧し、長吏や二千石（郡太守）を殺害しながら東進。長安に到達する頃には、その勢力は10万人に膨れ上がりました。

長安を守る楽平王石苞は精鋭を投入して迎え撃ちましたが、梁犢はこれを一蹴。長安を突破し、潼関から東へ進軍し洛陽を目指します。

石虎は司空李農を大都督・行大将軍事に任じ、張賀度・張良・石閔ら10万の兵を与えて梁犢を迎え撃たせます。李農は新安で梁犢軍と激突しますが、梁犢はこれを打ち破り、洛陽へ侵攻。再び李農を破り、成皋まで退却させました。さらに東進を続け、滎陽・陳留といった地域を侵略したため、石虎は大いに恐れました。

燕王石斌を大都督・中外諸軍事に任じ、姚弋仲・蒲洪・石閔らと共に討伐を命じます。石斌らが滎陽へ進軍すると、梁犢は迎え撃ちましたが大敗を喫し、戦死。残党も掃討され、梁犢の反乱は鎮圧されました。

参考文献

『晋書』載記第7
『資治通鑑』巻98
* 『十六国春秋』後趙録

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