梅村坦

梅村坦

梅村坦（うめむら ひろし、1946年11月10日 - ）は、日本の著名な東洋学者・歴史学者であり、中央大学の名誉教授です。彼の専門は東洋史学、中央ユーラシア史、そして特にウイグル民族誌史にあります。博士（学術）の学位を持ち、公益財団法人東洋文庫の研究員として、内陸アジア研究部門（中央アジア研究班 総括）で活躍しています。

経歴と業績

梅村先生は東京都出身で、中央大学で長年にわたり教鞭を執り、多くの学生を育成しました。その間、東洋文庫の評議員、内陸アジア史学会の常任理事、片倉もとこ記念沙漠文化財団の評議員も務め、学術界に多大な貢献をしています。

彼の研究は、中央ユーラシアの歴史と文化に深く根ざしており、特にウイグル地域の社会、文化、歴史に関する造詣が深いことで知られています。学位論文「ウイグル定住社会の形成 : 遊牧世界と農耕都市世界の接合」は、彼の研究における重要な成果の一つです。

1982年には、トルコのアンカラに滞在し、護雅夫氏とともに「日本学術振興会 西アジア地域研究センター」の再建・設立に携わるなど、国際的な学術交流にも積極的に貢献しました。

主な著書と論文

梅村先生は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究成果は広く国内外で評価されています。以下に主な著書を挙げます。

単著

Japanese studies on inner Asian history 1973-1983
『内陸アジア史の展開』(山川出版社)

翻訳（編訳・監訳）

『中国考古学三十年：1949-1979』(平凡社)
『中国歴史・文化地理図冊』(原書房)
『モンゴル大草原遊牧誌―内蒙古自治区で暮らした4年』(朝日新聞社)
『殉教の中国イスラム：神秘主義教団ジャフリーヤの歴史』(亜紀書房)
『中国と日本―批判の刃を己に』(亜紀書房)

編集・編著

『中央アジア：1886-1977』
『中央ユーラシアへの現代的視座』(中央大学出版部)

共著

『宋と中央ユーラシア』(中央公論社)
『中央アジア史』(同朋舎 発行・角川書店 発売)
『地域の成り立ち』(山川出版社)
『中央ユーラシア史』(山川出版社)
『大中華圏：その実像と虚像』(岩波書店)

共編・共編著

『ウイグル文契約文書集成 全3巻』(大阪大学出版会)
『イスラーム世界』(岩波書店)
『中央ユーラシアを知る事典』(平凡社)
『中央ユーラシアの文化と社会』(中央大学出版部)
『図録 文字から見る歴史と文化：江上波夫蒐集品を中心に』(山川出版社)
Catalogue of the Old Uyghur Manuscripts and Blockprints in the Serindia Collection of the Institute of Oriental Manuscripts, RAS、Volume 1、Toyo Bunko
『中央ユーラシア文化事典』(丸善出版)

これらの著作は、中央ユーラシアの歴史、文化、社会に関する理解を深める上で貴重な資料となっています。

学会活動

梅村先生は、長年にわたり、歴史学会、内陸アジア史学会、日本中央アジア学会などの主要な学会で役員を務め、学術交流の推進に尽力しました。特に、内陸アジア史学会では副会長、会長を歴任し、学会の発展に大きく貢献しました。

教育活動

立正大学や中央大学で教鞭を執り、多くの学生を指導しました。2017年3月には中央大学を定年退職し、名誉教授の称号を受けました。最終講義では、「中国少数民族から見る”ナショナリズム”」をテーマに講演を行い、聴衆に深い感銘を与えました。

参考文献

『HAKUMON Chuo』中央大学、2016 冬号 NO.249
『総合政策研究』第25号、中央大学総合政策学部、2017年3月

外部リンク

梅村 坦 - researchmap
梅村 坦 - J-GLOBAL
梅村 坦 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
梅村 坦 - CiNii Research
東洋文庫 研究員インタビュー　中央アジア研究班 梅村坦先生 - YouTube

梅村坦先生は、中央ユーラシア史研究の第一人者として、その知識と経験を活かし、学術界の発展に今後も貢献していくことが期待されています。

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