樋之口町 (鹿児島市)

樋之口町（てのくちちょう）

概要

樋之口町は、鹿児島県鹿児島市に位置する町です。かつての薩摩国鹿児島郡鹿児島城下樋之口通町、鹿児島市樋之口通町にあたります。郵便番号は892-0845で、2020年4月1日現在の人口は1,261人、世帯数は914世帯です。1963年（昭和38年）より、町全域で住居表示が実施されています。

地理

鹿児島市の中央部、甲突川の下流域に位置しています。江戸時代には、鹿児島城下の武士の屋敷が多くありました。現在は、住宅街の中に店舗が混在し、アパートや駐車場が多く見られます。

町の北には山之口町、南には新屋敷町、東には松原町と千日町、西には加治屋町が隣接しています。

町域の西端には鹿児島県道20号鹿児島加世田線が南北に走り、南端にはパース通りが東西に走っています。また、北西部には樋之口本通りが北東に伸びています。南西端には鹿児島市立甲東中学校があります。

町名の読み方

「樋之口」の読み方は、鹿児島市史第1巻では「といのくち」が正しいとされています。しかし、鹿児島市が公表している「鹿児島市の町名一覧」や「角川日本地名大辞典」では「てのくちちょう」と表記されています。他にも、「たいのくち」や「てぇのくち」と呼ばれることもあります。

この町名は難読地名として知られており、平凡社の『日本歴史地名大系』にも「樋之口」（てのくち）として掲載されています。

河川

町内には清滝川が流れています。

歴史

樋之口町の成立

江戸時代の天保年間に編纂された「天保切絵図」によると、甲突川・清滝川と南の新納殿小路までの区域に樋之口通町がありました。谷山通と南林寺の間には樋之口馬場がありました。

明治時代初期の樋之口通町は「鹿児島地誌」によると鹿児島郡鹿児島府下に属していました。また、鹿児島市史第1巻によれば、明治時代初期には平民が多く住んでいましたが、士族も306戸あったため、武家町に含まれていたとされています。

市制施行以後

1889年（明治22年）4月1日、市制が施行され、それまでの樋之口通町は鹿児島市の町「樋之口通町」となりました。1899年（明治32年）には「通」の字が削除され、「樋之口町」に改称されました。

1911年（明治44年）には大雨による浸水被害、同年には台風による甲突川の氾濫で再び浸水被害が発生しました。1917年（大正6年）にも豪雨による清滝川の氾濫で浸水被害を受けています。

第二次世界大戦中の1945年（昭和20年）4月21日には、アメリカ軍の空襲（鹿児島大空襲）により、樋之口町を含む地域が被害を受けました。

1947年（昭和22年）には、町内に鹿児島市立第四中学校が設置されました。この中学校は1949年（昭和24年）に甲東中学校と改称されました。

1963年（昭和38年）には住居表示が実施され、町の区域が再編されました。樋之口町の一部は加治屋町、新屋敷町、千日町に編入され、新屋敷町と山之口町の一部が樋之口町に編入されました。

1964年（昭和39年）には、町域内を流れる清滝川が暗渠化され、鹿児島市によって駐車場が整備されました。

町域の変遷

町の区域は、市制施行や住居表示の実施に伴い、何度か変更されています。

人口

国勢調査に基づく人口の推移は以下の通りです。

施設

教育

鹿児島市立甲東中学校

その他

九州電力送配電天文館変電所

学区

市立小・中学校の学区は以下の通りです。

（詳細な学区情報は省略）

交通

道路

主要地方道：鹿児島県道20号鹿児島加世田線
市道：パース通り

鉄道

鹿児島市電1系統：甲東中学校前電停

樋之口町出身の著名な人物

池上四郎（薩摩藩士、西南戦争で戦死）
森岡昌純（政治家、兵庫県令、貴族院勅選議員）
橋口五葉（装幀作家、浮世絵研究者）

脚注

（脚注の内容は省略）

参考文献

鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』 1巻、鹿児島市、1969年2月28日。
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』 2巻、鹿児島市、1970年3月25日。
南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』 5巻、鹿児島市、2015年3月27日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、日本、1983年3月1日。ISBN 978-4-04-001460-9。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。ISBN 978-4582910544。

関連項目

樋之口町 (曖昧さ回避)
* 九州地方の難読地名一覧

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