橘岑継

橘岑継（たちばな の みねつぐ）

平安時代初期から前期にかけて活躍した公卿である橘岑継は、橘氏公の長男として知られています。彼の名前は峯継や峰継とも記載されることがあります。官位は正三位および中納言に至りますが、岑継の経歴には多くの重要な出来事が含まれています。

経歴

岑継は、仁明天皇の乳母であった母を持つ正良親王に親しく仕え、その結果、天長6年（829年）に内舎人に任命されました。その後も蔵人や常陸少掾、相模掾を歴任していきます。そして、天長9年（832年）には相模権守に任ぜられ、さらなる昇進を果たしました。

仁明天皇が即位した天長10年（833年）、彼は右近衛少将に抜擢され、同年内には左近衛少将に任じられます。この坂の途中で、昇進を重ね、承和の時代には逐次高位へと昇ります。具体的には、承和3年（836年）に従五位上、承和6年（839年）には正五位下と着実に位を上げていきました。

さらには、承和7年（840年）に従四位下、右近衛中将、承和9年（842年）には蔵人頭として近衛府の次官を務め、承和11年（844年）には参議に就任し公卿の仲間入りを果たします。文徳朝の斉衡2年（855年）には正三位、斉衡3年（856年）には中納言に叙任され、彼の官職遍歴は非常に華やかです。また、嘉祥3年（850年）の仁明天皇の崩御の際には、御装束司をつとめるなど、重要な役割を果たしました。

最終的には、貞観2年（860年）に亡くなるまで、彼の地位は正三位行中納言として確固たるものでした。享年57歳でした。

人物像

岑継は、身長が6尺（約182cm）を超える偉丈夫として知られ、体格に恵まれていた一方で、性格は緩やかで鷹揚でした。若いころは文書に関心を示さず、愚鈍と見なされていた時期もありました。このため仁明天皇は、彼が漢学に疎く、書物を読まないことを嘆息したというエピソードもあります。しかし、この指摘を耳にした岑継は深く反省し、学問の必要性を改めて認識します。そして、熱心に学び始め、漢文の理解を補うことに努めました。このように彼は、成長を遂げる過程で多くの人に影響を与える人物へと変わっていきました。

官歴

岑継の官歴は、彼の技能や適性を物語っており、天長6年（829年）に内舎人に始まり、次第に昇進していきます。特記すべき官位には、承和3年の従五位上や、承和6年の正五位下、さらには嘉祥2年（849年）の従三位、そして斉衡2年（855年）の正三位と、重要な役職を数多く歴任しました。

家族

岑継の父は橘氏公、母は田口真仲という、仁明天皇の乳母である人物です。彼には複数の男子が生まれ、子孫を残しました。しかし、具体的な家族に関する情報はあまり多くは知られていません。

このように、橘岑継は平安時代において重要な公卿の一人であり、彼の人生からは当時の政治的な流れや、個人の成長の物語を垣間見ることができます。

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