歌舞伎の演目一覧

歌舞伎演目一覧

歌舞伎は、日本の代表的な伝統芸能の一つであり、その歴史の中で数多くの演目が生まれ、上演されてきました。本記事では、歌舞伎の代表的な演目を、初演された年代順に一覧形式でご紹介します。各演目の簡単な解説とともに、歌舞伎の歴史と魅力に触れていきましょう。

演目の分類

本記事では、演目を以下の基準で分類・整理しています。

年代順：各演目が歌舞伎狂言または歌舞伎舞踊として初演された年代順に掲載。初演年が不明な場合は、人形浄瑠璃としての初演年に基づいています。
見出し：原則として本外題（正式な演目名）を使用。別外題や通称がある場合は、適宜付記しています。
幕・場・段：独立して上演される際に独自の名称が用いられる演目については、改行して一段下げて記載しています。

各年代の代表的な演目

以下に、各年代における代表的な演目をいくつかご紹介します。

元禄〜正徳年間 (1688年〜1716年)

元禄文化が華開いた時代であり、初期の歌舞伎を代表する演目が数多く生まれました。

寿曽我対面（ことぶき そがの たいめん）：曽我兄弟の仇討ちを題材とした、お正月によく上演される華やかな演目です。
勧進帳（かんじんちょう）：歌舞伎十八番の一つ。源頼朝に追われる身となった武蔵坊弁慶が、山伏姿に身をやつし、関所を通過しようとする物語。
大経師昔暦（だいきょうじ むかし ごよみ）：近松門左衛門作の人形浄瑠璃。大経師の娘おさんと手代茂兵衛との悲恋を描いた作品。

享保〜寛保年間 (1716年〜1751年)

享保の改革が行われた時代であり、人形浄瑠璃の影響を受けながら、歌舞伎独自の演劇性が発展しました。

国性爺合戦（こくせんや かっせん）：近松門左衛門作の人形浄瑠璃。和藤内が活躍する勇壮な物語。
曽根崎心中（そねざき しんじゅう）：近松門左衛門作の人形浄瑠璃。手代忠兵衛と遊女お初の悲恋を描いた作品。
義経千本桜（よしつね せんぼん ざくら）：源義経を巡る様々な人々の運命を描いた、時代物狂言の傑作。
仮名手本忠臣蔵（かなでほん ちゅうしんぐら）：赤穂浪士の仇討ちを題材とした、人形浄瑠璃・歌舞伎を代表する作品。
京鹿子娘道成寺（きょうがのこ むすめ どうじょうじ）：能の「道成寺」を基にした舞踊劇。白拍子花子が、鐘供養に現れ、恋心を募らせる物語。

明和〜天明年間 (1764年〜1789年)

田沼意次の政治が行われた時代であり、娯楽性の高い演目が人気を集めました。

本朝廿四孝（ほんちょう にじゅうし こう）：中国の故事「二十四孝」を日本風にアレンジした時代物。
妹背山婦女庭訓（いもせやま おんな ていきん）：蘇我入鹿と大職冠鎌足の対立を背景に、男女の情愛を描いた作品。
隅田川続俤（すみだがわ ごにちの おもかげ）：歌舞伎の時代物。
積恋雪関扉（つもる こい ゆきの せきのと）：大伴黒主と小町姫の恋物語を描いた舞踊劇。

文化〜文政年間 (1804年〜1830年)

化政文化が爛熟した時代であり、洗練された演出や様式美が追求されました。

廓文章（くるわ ぶんしょう）：近松門左衛門作の人形浄瑠璃を歌舞伎化したもの。遊女との恋を描いた作品。
新版歌祭文（しんばん うたざいもん）：竹本座の初代竹田出雲、二代目竹本三郎兵衛、近松半二合作の人形浄瑠璃。
助六所縁江戸桜（すけろく ゆかりの えどざくら）：歌舞伎十八番の一つ。主人公助六が、源氏の宝刀を探し求める物語。
桜姫東文章（さくらひめ あずま ぶんしょう）：桜姫の悲恋を描いた作品。
東海道四谷怪談（とうかいどう よつや かいだん）：鶴屋南北作の有名な怪談劇。夫に裏切られた妻お岩の復讐を描いた作品。
藤娘（ふじむすめ）：藤の花の精が、恋心を踊りで表現する華やかな舞踊劇。

天保年間 (1830年〜1844年)

天保の改革が行われた時代であり、社会情勢を反映した演目が登場しました。

勧進帳（かんじんちょう）：歌舞伎十八番の一つ。
宮島のだんまり（みやじまの だんまり）：歌舞伎の様式美を追求した無言劇。

弘化〜慶応年間 (1844年〜1868年)

幕末の動乱期であり、時代劇や世話物が人気を集めました。

与話情浮名横櫛（よわなさけ うきなの よこぐし）：源氏店。
青砥稿花紅彩画（あおとぞうし はなの にしきえ）：白浪五人男。

明治年間 (1868年〜1912年)

明治維新後、西洋文化の影響を受けながら、歌舞伎の近代化が図られました。

樟紀流花見幕張（くすのきりゅう はなみの まくはり）：楠木正成。
連獅子（れんじし）：親獅子と仔獅子の愛情を描いた舞踊劇。
土蜘（つちぐも）：源頼光と土蜘蛛の精の戦いを描いた作品。

大正〜戦前昭和 (1912年〜1945年)

新歌舞伎が隆盛を極め、新たな演出や技法が導入されました。

お夏狂乱（おなつ きょうらん）：近松門左衛門。
天守物語（てんしゅ ものがたり）：泉鏡花の幻想的な戯曲を歌舞伎化した作品。
元禄忠臣蔵（げんろく ちゅうしんぐら）：真山青果。

戦後昭和〜平成年間 (1945年〜2019年)

新作歌舞伎やスーパー歌舞伎が登場し、歌舞伎の可能性がさらに広がりました。

源氏物語（げんじものがたり）：紫式部。
ヤマトタケル（ヤマトタケル）：梅原猛。
ワンピース（ワンピース）：尾田栄一郎。

令和年間 (2019年〜)

伝統を守りながらも、新たな試みが続けられています。

風の谷のナウシカ（かぜのたにのナウシカ）：宮崎駿。
ファイナルファンタジーX（ファイナルファンタジーX）：スクウェア・エニックス。

まとめ

歌舞伎の演目は、その長い歴史の中で、時代ごとの文化や社会情勢を反映しながら、多様な展開を見せてきました。本記事でご紹介した演目は、ほんの一部に過ぎませんが、歌舞伎の世界への興味を持つきっかけとなれば幸いです。ぜひ劇場に足を運び、生の舞台に触れてみてください。

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