毛利松平

毛利松平（もうり まつへい、1913年7月16日 – 1985年5月24日）は、日本の政治家であり、第5代環境庁長官を務めました。

生い立ちと青年時代

現在の愛媛県西宇和郡伊方町で、商店を営む毛利久松の四男として生まれました。大洲中学校（現在の愛媛県立大洲高等学校）を経て、犬養毅を崇拝していたことから慶應義塾大学法学部に進学しました。大学在学中には真崎甚三郎を訪ね、軍部に対して「軍は横暴です。もっと謙虚でなければいけません」と直言したという逸話が残っています。

1938年に慶應義塾大学を卒業後、南満州鉄道に入社しました。敗戦時は撫順炭鉱の労務課長として、2万人の捕虜を管理していましたが、その温情ある扱いの弁護により、八路軍から釈放されました。

戦後と政界入り

引揚げ後は東京で「大和企業」を設立し、衣類や日用品の販売を行っていました。1952年に政界進出を決意し、政治評論家の岩淵辰雄から三木武夫を勧められ、三木の元で改進党の公認を得て、旧愛媛3区から総選挙に立候補しましたが、落選しました。その後、1953年と1955年の選挙でも落選を重ねましたが、1958年の第28回衆議院議員総選挙で初当選を果たしました。同期には竹下登、金丸信、安倍晋太郎、斎藤邦吉、倉成正、谷川和穂などがいました。

政治活動と環境庁長官

外務政務次官、衆議院大蔵委員長、自由民主党副幹事長などを歴任した後、1974年には第2次田中角榮内閣第1次改造内閣で環境庁長官に就任しました。環境庁長官として、名古屋新幹線騒音公害の視察を初めて行うなど、行動的な姿勢を見せました。しかし、南アルプススーパー林道建設問題では、地域経済の発展を重視する立場から、現地視察後に「自然はスズメやカラスのためにだけあるのではない」と述べて、着工を容認しました。

三木内閣発足時には、丹羽兵助、森山欽司と共に「お辞儀3人衆」として他派閥との折衝や調整に尽力しました。1983年には勲一等瑞宝章を受章しています。

武道の達人として

毛利松平は、柔道7段、空手5段、合気道は免許皆伝という政界でも稀な武道の達人でした。1980年には日本武道館理事長に就任しました。戦後の東京で民族活動を行っていた大山倍達と親交があり、国際空手道連盟極真会館の設立に貢献し、発足当初は副会長、後に会長を務めました。

政治思想と人間関係

思想的にはリベラルな三木派とは異なり、三木をすすめられたことが縁で三木派に所属していました。また、三木派では珍しく、近藤鉄雄と共に親台湾派を貫き、他派閥との繋がりも深かったとされています。

死去とその後

1985年5月24日、心筋梗塞により71歳で亡くなりました。墓所は愛宕の青松寺にあります。

関連する石碑など

大洲市沼田と八幡浜市日土町を結ぶ道路の開通に尽力したことを称え、その道路の最高地点に「毛利松平先生彰徳碑」が建てられています。また、東京都の青松寺に墓石が建てられています。

外部リンク

* データベース『愛媛の記憶』（毛利松平）

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