永吉 (鹿児島市)

鹿児島市永吉の歴史と現在

鹿児島市の中央部に位置する永吉は、甲突川中流域に広がる地域です。この地は、豊かな自然と歴史的な背景を持ち合わせており、多くの変遷を経て現在に至ります。

地理

永吉は、鹿児島市の中部に位置し、甲突川がその東端を流れています。周辺には小野、下伊敷、原良、草牟田、明和などの町が隣接しています。町の中心部には鹿児島修学館中学校・高等学校や鹿児島アリーナがあり、文教地区としての側面も持っています。

歴史

古代から中世

永吉の地は、弥生時代から人が居住していたことが、甲突川川底遺跡から出土した土器などによって示されています。南北朝時代には、この地の名が見られるようになり、薩摩国鹿児島郡に属していました。鎌倉時代には、島津氏がこの地を所領としており、その後、氏忠に譲られました。安土桃山時代には、豊臣秀吉による上地と寺付の決定が行われました。

近世

江戸時代には、鹿児島近在の一部として、永吉村が存在しました。この村は、水車館が設置され、機織が行われていたことでも知られています。また、薩摩街道や郡山街道が村内を通っており、交通の要所でもありました。1871年には、原良村を編入し、その規模を拡大しました。

近代

1889年の町村制施行により、永吉村は周辺の村と合併し、伊敷村の一部となりました。その後、1920年に鹿児島市に編入され、1925年に「永吉町」として成立しました。1979年には、住居表示が実施され、明和一丁目、明和四丁目、明和五丁目が新設されました。1986年には鹿児島刑務所が移転し、跡地には1992年に鹿児島アリーナが建設されました。2000年には、永吉地区で住居表示が実施され、永吉一丁目から永吉三丁目が設置されました。

地名の由来

「永吉」という地名は、永遠に肥沃な土地であることを願って名付けられたとされています。

平成5年8月豪雨

1993年の豪雨では、甲突川の氾濫により、永吉周辺の地域が浸水し、大きな被害を受けました。この水害を契機に、永吉地区の区画整理事業が加速しました。

文化財

現在、旧鹿児島刑務所正門が県指定の有形文化財として保存されており、この地が歩んできた歴史を物語っています。

施設

永吉には、鹿児島アリーナ、鹿児島刑務所鹿児島拘置支所、鹿児島市西部保健センター、かごしま温泉健康プラザなどの公共施設があります。また、鹿児島看護専門学校や鹿児島修学館中学校・高等学校といった教育機関も存在します。さらに、地域住民の生活を支える鹿児島永吉郵便局も置かれています。

現在の永吉

現在の永吉は、住居表示の実施により、永吉一丁目から永吉三丁目までの地域が形成されています。人口は約4,800人、世帯数は約2,300世帯と、多くの人々が生活を営んでいます。この地は、過去の歴史を背景に、新たな発展を遂げ続けています。

参考文献

鹿児島県『鹿児島県史 第六巻 上巻』鹿児島県、2006年。
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』 1巻、鹿児島市、1969年2月28日。
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』 2巻、鹿児島市、1970年3月25日。
南日本新聞『鹿児島市史Ⅳ』 4巻、鹿児島市、1990年3月15日。
南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』 5巻、鹿児島市、2015年3月27日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、日本、1983年3月1日。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
南日本新聞社鹿児島大百科事典編纂室『鹿児島大百科事典』南日本新聞、1981年。
有田忠雄、河口貞徳、村田凞、稲葉行雄、村野守治、四本健光、紀野健一郎『鹿児島のおいたち』鹿児島市、1955年。
“鹿児島市内の指定文化財等一覧表”. 鹿児島市 (2020年4月1日).
* 有馬知洋、種子島時大、永井貴士「373ワイド 永吉新聞」『南日本新聞』2012年7月24日、13面。

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