波方町の歴史と概要
波方町は、
愛媛県の
東予地方に位置し、
高縄半島の北端に突き出した場所にありました。瀬戸内海の交通の要衝として、古くから
海運業が栄え、地域経済を支えてきました。2005年1月には、隣接する
今治市を含む12の市町村と合併し、現在は
今治市の一部となっています。
地理
波方町は、
愛媛県の最北端(島嶼部を除く)に位置し、東、西、北の三方を海に囲まれた地形です。この地理的条件が、
海運業の発展を促しました。
歴史
中世以前
町内各地には、縄文時代や弥生時代の遺跡が点在しており、古くから人々が生活していたことが伺えます。
藩政期
藩政時代には松山藩の所領であり、長谷部家、片山家、大河内家などが庄屋を務めていました。幕末から明治初期にかけて、菊間瓦の原料となる
粘土の運搬から
海運業が起こり、明治4年には5隻の船が記録されています。その後、素灰舟や
石炭舟も登場し、
海運業がさらに発展しました。
近代
明治30年代前半には、今治から綿ネル工場が進出し、地域経済の主力産業となりました。
日露戦争を機に
石炭船が増加し、
海運業がさらに発展しました。
1889年(明治22年)には波方尋常小学校が馬刀潟簡易小学校を統合しました。
1893年(明治26年)には波止浜村と共同で波止浜高等小学校が開校しました。
1896年(明治29年)には波方港の築港工事が始まり、以後5回にわたり行われました。
大正時代後半には、綿ネルからタオル工場へと転換が進み、タオル産業と
海運業が町の主要産業となりました。
昭和30年代には、ナシ園から柑橘園への転換が進みました。
1915年には波方郵便局(現在の小部郵便局)が開局しました。
1921年には小部〜今治間に定期バスが運行開始し、波方村役場に電話が開通しました。
1924年には
予讃線今治駅〜大井駅が開通しました。
1940年には波方郵便局が開局しました。
1949年には波方農業協同組合、小部漁業協同組合、波方漁業協同組合が設立されました。
1953年には波方港が地方港湾に指定されました。
1955年には波方村報が創刊されました。
1960年には予讃線波方駅が開業しました。
1962年には有線放送業務が開始されました。
1963年には中・四国フェリー(波方〜竹原)が運航開始しました。
1968年には栗島海員学校波方分校(現
国立波方海上技術短期大学校)が開校しました。
1971年には玉川ダムより上水道分水が開始されました。
1975年には宮崎
工業団地が完成しました。
1979年には波方・大西町衛生事務組合のごみ焼却場が完成しました。
1983年には福祉センターが完成し、波方ターミナルが操業を開始しました。
1987年には町民会館が完成しました。
1992年には波方町CATVが開局し、大角海浜公園が完成しました。
1997年には町立図書館がオープンしました。
2003年にはLPG国家備蓄基地波方基地の建設工事が開始されました。
沿革
1889年(明治22年)12月15日 - 町村制施行により、樋口村、波方村、小部村、森上村、馬刀潟村、宮崎村が合併し、野間郡波方村が成立しました。
1897年(明治30年)4月1日 - 野間郡が
越智郡に統合されました。
1960年(昭和35年)3月1日 - 波方村が町制を施行し、波方町となりました。
1960年(昭和35年)5月1日 - 字大浦の一部が
今治市に編入されました。
2005年(平成17年)1月16日 - 今治市、菊間町、大西町、玉川町、朝倉村、吉海町、宮窪町、伯方町、上浦町、大三島町、関前村と合併し、今治市となりました。
地域
明治の合併前の旧6か村の名前が、そのまま大字として継承されました。波方町では、「波方」の読み方を「はがた」から「なみかた」に変更しました。
大字:波方、小部、樋口、馬刀潟、宮崎、森上
現在の今治市では、「波方町」を冠し、大字を省略した表記になっています。
また、波方地区は、大浦、岡、郷、波方、西浦、養老の6地区に分けられます。
生活
下水道などの生活インフラの整備が進んでおり、CATVやインターネット環境も整備されています。
教育
町内には、3つの保育所(現在は今治市立)、私立幼稚園、小学校(現在は今治市立)がありました。中学校は、今治市波止浜地区との共立中学校である北郷中学校でした(現在は今治市立)。また、国立波方海上技術短期大学校があります。
産業
波方町は、海運業が盛んであり、海事都市の一翼を担っています。宮崎地区には、液化石油ガスや石油製品の物流基地があります。また、檜垣造船のブロック製造工場や、小林組の建設資材置き場も進出しています。
主要企業
今井タオル
小林組
石油天然ガス・金属鉱物資源機構 波方国家石油ガス備蓄基地事業所
波方ターミナル
BEMAC
檜垣造船
芳栄工業
小売店
Aコープ 波方店
金融機関
越智今治農業協同組合
伊予銀行
愛媛県信用漁業協同組合連合会
日本郵便
観光
国立大角海浜公園
海山城展望台
塔の峰
交通
航路
かつては、中・
四国フェリーが波方港と竹原港を結んでいましたが、2009年に廃止されました。
鉄道
JR予讃線:波方駅
道路
県道15号、県道38号
バス
*
瀬戸内運輸が
今治市街と波方町地区を結んでいます。
波方町は、その歴史、地理、産業、文化など、多岐にわたる魅力を持つ地域でした。現在は
今治市の一部として、その歴史と文化は今も受け継がれています。