温 (姓)

温姓について

温（おん）は、漢姓の一つであり、中国や韓国に見られる姓である。2020年の中国の統計によると、温は人数順の上位100姓には入らないものの、台湾においては異体字の「温」が65番目に多い姓として42,016人に利用されている。正体字の「溫」は104番目の姓であり、14,097人が名乗っている。

中国における温姓

温姓の著名な人物には、三国時代の魏で活躍した温恢や、温恢の曾孫である東晋の政治家・温嶠、唐の時代の詩人・温庭筠がいる。現代では、中華人民共和国のリーダーとして知られる温家宝が特に著名である。また、中国香港出身の俳優・デリック・ワン（本名：温兆麟）や、台湾の俳優・温昇豪も温姓の人々として知られている。さらには、若手の中華人民共和国のサッカー選手、温家宝（DF）もこの姓を持っている。

朝鮮の温姓

温（おん、オン）は朝鮮の姓でもあり、多くの著名な人物が存在する。高句麗の武臣である温達や、韓国の囲碁棋士・温昭珍などがその代表的な例である。温姓は、朝鮮の『朝鮮氏族通譜』によると、金溝・西原・温陽・全州・伊城・羅州・平皐・巨野・慶州などの本貫を持つ。

温達は、高句麗の平原王時代に平岡公主と婚姻し、そこから温氏の血統が始まったとされる。高句麗の宝蔵王時代には、温沙門将軍が唐の軍勢を退けるなど、歴史上でも重要な位置付けを持つ。また、新羅の真徳王や高麗の忠穆王、恭愍王の時代には、それぞれの世代で温姓の人物が重要な役割を果たしていた。

温信という始祖の次男は、高麗の恭愍王の時に活躍し、辛旽の専横を弾劾して流罪にされた。その後、温信は自らが流罪となった地を本貫とし、温氏の血統が続いている。温信の7世孫は咸鏡道北青郡に居住しており、戸籍の誤記により清州に分貫された事例もあった。

温姓には、全羅北道金堤市金溝面を本貫とする金溝温氏や、咸鏡南道北青郡を本貫とする清州温氏があり、これらの氏族は歴史的に見ても色々な活躍をしている。特に清州温氏では、温儀得や温昌奉が1784年に武科に及第している。

朝鮮時代には、温夢祥や温以牧が武科に合格し、温必晋や温大一が生員試に、温彪や温珽吉が進士試に合格するなど、文学や武道でも名前を残している。その他にも丹陽温氏や温陽温氏など、同じ血統を持つ氏族があり、彼らは温達を先祖とし、温氏中央宗親会を構成している。


このように、温姓は中国や朝鮮において、多様な人物や歴史的な背景を持つ姓であり、それぞれの地域で人々に親しまれている。

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