游泓

游泓（ゆう おう、生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物であり、広平郡任県を本貫とします。彼は、慕容廆（ぼようかい）の龍驤長史（りゅうじょうちょうし）を務めた游邃（ゆう すい）の兄である游暢（ゆう ちょう）の子にあたります。

前燕での活動と後趙への寝返り

游泓は前燕に仕え、居就県令（きょしゅうけんれい）という役職に任じられていました。咸康4年（338年）5月、後趙（こうちょう）の天王（てんおう）である石虎（せきこ）は、前燕国内に使者を送り込み、各都市の誘降を促しました。この誘いに応じたのが、東夷校尉（とういこうい）の封抽（ふう ちゅう）、護軍将軍（ごぐんしょうぐん）の宋晃（そう こう）、成周内史（せいしゅうないし）の崔燾（さい とう）、武原県令（ぶげんけんれい）の常覇（じょう は）、そして居就県令の游泓でした。彼らの寝返りにより、後趙は36もの城を手に入れることに成功します。

しかし、燕王（えんおう）慕容皝（ぼよう かん）はこれに対し、軍を派遣して後趙に応じた諸城を次々と攻略しました。敗れた游泓は、宋晃、封抽とともに高句麗（こうくり）へと逃亡しました。

高句麗への亡命と国家発展への貢献

游泓は、高句麗の4世紀以降の国家発展において、無視できない役割を果たした中国人流入者の一人として知られています。彼は高句麗に新たな文化をもたらし、国政の整備、軍備拡張、そして積極的な外交政策を推進したとされています。彼のような亡命者が、当時の高句麗に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

家系

父: 游暢（ゆう ちょう）
叔父: 游邃（ゆう すい）



参考文献

『資治通鑑』巻96
『十六国春秋』巻24

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