崔燾

崔燾（さい とう）

崔燾（生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物であり、本貫は清河郡東武城県。東晋の平州刺史であった崔毖の兄の子にあたる。

生涯

慕容廆との交渉

319年、東晋の平州刺史であった崔毖は、鮮卑慕容部の大人である慕容廆の台頭を警戒し、段部、宇文部、高句麗を扇動して慕容廆を攻撃させた。しかし、慕容廆はこれらの勢力を打ち破り、崔毖は恐れを抱き、崔燾を使者として棘城へ派遣し、戦勝を祝わせた。

同時期に、敗れた三勢力の使者も慕容廆のもとに和平を求めて訪れていた。彼らは、挙兵が崔毖の指示によるものだと証言したため、慕容廆は兵を配備して崔燾と面会した。崔燾は恐れて崔毖の陰謀を白状した。慕容廆は帰国しようとする崔燾に対し、崔毖に降伏することが最善策であると告げ、兵を引いて崔燾を見送った。

その後、慕容廆は将軍の張統に河城を急襲させ、高句麗の将である如奴子を捕らえ、千余りの家を連れ帰った。その際、高瞻、韓恒、石琮とともに棘城へ移され、賓客として手厚く扱われた。

321年12月、慕容廆は東晋から車騎将軍・都督幽平二州東夷諸軍事・平州牧に任じられ、遼東公に封じられた。慕容廆は官僚組織を編成し、崔燾は主簿に任じられた。その後、成周内史に転任した。

後趙への寝返り

338年5月、後趙の天王である石虎は、前燕国内に使者を派遣し、住民の懐柔と降伏を促した。この動きに応じ、成周内史であった崔燾、居就県令の游泓、武原県令の常覇、東夷校尉の封抽、護軍将軍の宋晃らが後趙に降伏し、後趙は36城を手に入れた。

燕王の慕容皝は軍を派遣し、後趙に応じた諸城を攻撃して全て攻略した。敗れた崔燾は常覇とともに後趙の都である鄴へ逃亡した。

これ以後の崔燾の事績は、史書には記録されていない。

参考文献

『晋書』巻108
『資治通鑑』巻91、巻96
* 『十六国春秋』巻15、巻23、巻24

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