源通資

源通資（みなもと の みちすけ）

源通資は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての公卿で、村上源氏の流れを汲む久我流に属していました。父は内大臣を務めた源雅通です。彼は正二位・権大納言にまで昇り、淳和奨学両院別当という要職も兼務しました。

経歴

以下に、彼の経歴を『公卿補任』と『尊卑分脈』に基づいて詳細に記述します。

保元3年（1158年）4月6日、叙爵。
長寛3年（1165年）5月9日、侍従に任官。
永万元年（1165年）12月30日、昇殿を許される。
永万2年（1166年）1月12日、従五位上に昇叙。
仁安3年（1168年）8月4日、正五位下に昇叙。
仁安4年（1169年）1月11日、阿波権介を兼任。
嘉応元年（1169年）4月16日、左少将に任官。
嘉応2年（1170年）11月9日、従四位下に昇叙。
嘉応3年（1171年）1月18日、丹波権介を兼任。
承安2年（1172年）1月23日、従四位上に昇叙。
承安5年（1175年）1月23日、美作介を兼任。同年4月27日、父・雅通の喪が明けて復任。
治承2年（1178年）1月5日、正四位下に昇叙。
養和元年（1181年）11月28日、左中将に転任。
養和2年（1182年）3月8日、加賀権介を兼任。
寿永2年（1183年）12月10日、蔵人頭に補任。
元暦元年（1184年）10月、禁色を許される。
文治元年（1185年）6月10日、参議に任官。左中将は元の如し。
文治2年（1186年）2月30日、周防権守を兼任。
文治3年（1187年）1月23日、従三位に昇叙。
建久元年（1190年）7月17日、権中納言に任官。同年12月14日、正三位に昇叙。
建久4年（1193年）11月21日、勅授帯剣を許される。
建久6年（1195年）4月7日、従二位に昇叙。
建久8年（1197年）12月15日、左衛門督を兼任し、検非違使別当となる。
建久9年（1198年）9月12日、大嘗会の御禊次第司御前長官を務める。
正治元年（1199年）6月22日、権大納言に昇進。
正治2年（1200年）1月5日、正二位に昇叙。
建仁2年（1202年）10月26日、淳和奨学両院別当に補任。
元久2年（1205年）7月8日、薨去。

内大臣任官を巡る一件

元久2年（1205年）、藤原隆忠が右大臣に転任した後、内大臣の地位が空席となりました。そこで通資は同年6月17日に内大臣に任ぜられることを願い出ました。しかし、後鳥羽院は病を治癒してから願い出るように伝えました。ところが、通資はこれを内大臣の勅許を得たものと解釈し、世間に公表してしまいます。同月19日には、八条院が後鳥羽院に迫り通資を内大臣に任じるよう求めましたが、後鳥羽院は病の治癒を優先すべきと主張し、内大臣の勅許を与えませんでした。

結局、通資は内大臣に任ぜられることなく、同年7月8日に亡くなりましたが、彼の家臣や関係者は彼を「内大臣殿」と呼んでいたといいます。そして同月10日、通資の遺族は亡き彼を久世荘に葬りました。

系譜

父：源雅通
母：美福門院女房 - 藤原行兼または藤原長信の娘
妻：藤原長輔の娘
男子：源雅親（1180-1250）
男子：源雅清（1182-1230）
妻：源俊光の娘
生母不明の子女
男子：源守通 - 左中将
男子：唐橋通時 - 右中将
男子：勝海
男子：道禅
男子：道順
女子：惟明親王妃

参考文献

『公卿補任』（新訂増補国史大系）吉川弘文館
『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）吉川弘文館
『久我家文書』　國學院大学久我家文書編集委員会
橋本義彦 『源 通親』、人物叢書、吉川弘文館
『明月記研究』10号、2005年12月

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