滋野井実国

滋野井実国（しげのい さねくに）は、平安時代末期に活躍した公卿・歌人です。藤原実国とも呼ばれ、内大臣・三条公教の次男として生まれました。最終的な官位は正二位・権大納言にまで至り、三条大納言と号しました。滋野井家を興した人物としても知られています。

経歴

久安3年（1147年）に従五位下に叙爵したのが、実国の官僚としての第一歩でした。その後、仁平2年（1152年）には従五位上・左兵衛佐に叙任され、同年のうちに正五位下に昇叙するなど、順調に昇進を重ねます。

久寿2年（1155年）には右近衛少将に任ぜられ、保元年間には従四位下から正四位下へと位を進めました。右近衛中将、蔵人頭といった要職を歴任し、永暦元年（1160年）には但馬権守を経て参議に任ぜられ、ついに公卿の仲間入りを果たします。その後も播磨権守を経て、応保2年（1162年）に従三位、長寛3年（1165年）には権中納言に任ぜられました。さらに、左兵衛督、左衛門督などを歴任し、最終的には正二位・権大納言にまで昇りつめました。

寿永元年（1182年）に母が亡くなった後を追うように、寿永2年（1183年）正月2日に薨去しました。享年44歳でした。実国は、笛や神楽に秀でており、高倉天皇の笛の師でもありました。また、歌人としても才能を発揮し、永万2年（1166年）の中宮亮重家朝臣家歌合、嘉応2年（1170年）の建春門院北面歌合、治承2年（1178年）の別雷社歌合など、数々の歌合に出詠しています。嘉応2年（1170年）には自邸で歌合を催しました。家集として『実国集』があり、『千載和歌集』にもその歌が収録されています。

官歴

久安3年（1147年）正月5日：従五位下（統子内親王御給）
仁平2年（1152年）正月3日：従五位上（朝覲行幸。章子内親王）
仁平2年（1152年）正月24日：左兵衛佐
仁平2年（1152年）3月8日：正五位下（院別当公教卿譲）
久寿2年（1155年）4月14日：右近衛少将
保元元年（1156年）閏9月14日：従四位下（府）
保元2年（1157年）10月22日：従四位上（造宮臨時）
保元3年（1158年）正月6日：正四位下（臨時）
保元3年（1158年）正月27日：右近衛中将
保元4年（1159年）4月6日：蔵人頭
永暦元年（1160年）正月21日：但馬権守
永暦元年（1160年）4月2日：参議
永暦2年（1161年）正月23日：播磨権守
応保2年（1162年）2月23日：従三位（日吉行幸行事）
長寛3年（1165年）正月23日：権中納言
永万2年/仁安元年（1166年）7月15日：左兵衛督
永万2年/仁安元年（1166年）11月14日：正三位（臨時）
仁安2年（1167年）2月11日：右衛門督
仁安3年（1168年）7月3日：左衛門督
仁安3年（1168年）8月10日：中納言
嘉応2年12月30日（1171年2月6日）：権大納言
嘉応3年（1171年）正月2日：帯剣
承安2年（1172年）3月29日：従二位（日吉行幸行事賞）
承安5年（1175年）正月4日：正二位（天皇行幸上皇御所御笛師賞。御遊座直被仰之）
治承4年（1180年）2月21日：院別当

系譜

父：三条公教
母：家女房（?-1182）
妻：藤原家成の娘（?-1173?）
長男：滋野井公時（1157-1220）
妻：源雅綱の娘
次男：藤原公清（1166-1228）
生母不明の子女
男子：賢忍
男子：公全（1172-1225）
女子：粟田口忠良室
養子
* 男子：藤原公佐 - 藤原成親の子

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