照蓮寺

照蓮寺（中野照蓮寺）の歴史と文化財

照蓮寺は、岐阜県高山市堀端町に位置する真宗大谷派の寺院で、地域では「中野照蓮寺」という通称で親しまれています。高山市内にはもう一か所「照蓮寺」が存在しますが、こちらは約800メートル離れた場所に位置しています。

起源と変遷

照蓮寺の歴史は、1253年（建長5年）に嘉念坊善俊によって開かれた正蓮寺に始まります。善俊は親鸞の弟子であり、後鳥羽上皇の子孫という説もあります。美濃国長滝から飛騨国白川郷鳩ヶ谷へと移り、正蓮寺を建立。この寺を中心に、飛騨地方における浄土真宗は大きな勢力を持つようになりました。

戦国時代になると、正蓮寺の僧であった教信が還俗して三島将監と名乗り、弟の明教と共に勢力を拡大します。この時期、加賀一向一揆など北陸地方の一向一揆に兵を派遣し、協力していました。しかし、三島氏とこの地を治めていた内ヶ島氏との間で勢力争いが起こり、1488年（長享2年）には内ヶ島為氏によって正蓮寺は焼き討ちに遭い、三島将監は戦死、明教は逃亡後に自害するという悲劇に見舞われます。

明教の子である明心は、内ヶ島為氏と和睦し、1504年（永正元年）に飛騨国白川郷中野に寺院を再興。この際に寺名を「光曜山照蓮寺」と改称しました。内ヶ島氏との協力関係によって照蓮寺の勢力はさらに拡大し、天正13年（1585年）には、飛騨国を治めることになった金森長近が、その勢力を利用しようと、家臣の石徹白彦左衛門に命じて照蓮寺との間で起請文を交わしました。そして、1588年（天正16年）には、照蓮寺を高山城の城下に移転させました。金森長近が城を留守にする際には、照蓮寺がその守りを担ったとされています。その功績から、豊臣秀吉は照蓮寺に安阿弥作の阿弥陀如来立像を下賜しました。この移転後の照蓮寺が、現在の真宗大谷派高山別院照蓮寺です。

一方、1588年の光曜山照蓮寺の移転後も、正蓮寺の開基である善俊の墓と本堂はそのまま残り、「照蓮寺掛所心行坊」として存続しました。明治初期に本山に改称を願い出て、「心行坊」から「照蓮寺」と公称するようになりました。1961年（昭和36年）には、御母衣ダムの建設に伴い、飛騨国白川郷中野から現在の高山市堀端町へと移転しました。

文化財

移築された建物の中でも、本堂は1504年（永正元年）頃の建立とされ、国の重要文化財に指定されています。本堂は入母屋造、銅板葺き（元はとち葺き）で、間口7間、奥行9間の規模を誇ります。もとは東向きに建てられていましたが、ダム建設に伴う移築の際に西向きに変更されました。真宗本堂の形式を伝える最古の建築物として知られ、内部は広い外陣、中央の内陣、左右の余間で構成されています。住宅風の意匠が特徴的で、外部は舞良戸、内部は畳敷き、棹縁天井となっています。内陣奥には押板形式の仏壇があり、中央に阿弥陀如来立像、左右に親鸞と蓮如の画像が祀られています。

また、中門は1574年（天正2年）の建立、梵鐘は「建武元年三月十二日（1334年4月16日〈ユリウス暦〉）」と「飛州安國寺」の銘があり、共に岐阜県重要文化財に指定されています。

周辺情報

照蓮寺のある高山市堀端町（城山公園）には、福来博士記念館が隣接しています。この記念館では、念写や透視などの超能力を研究した福来友吉博士の研究資料が展示されており、御船千鶴子、長尾郁子、高橋貞子、三田光一といった「超能力者」に関する実験試料が公開されています。また、照蓮寺と深い縁があった内ヶ島氏は、天正13年の天正大地震により根拠地の帰雲城が山崩れで埋没し、滅亡したと伝えられています。

アクセス

照蓮寺は、高山本線高山駅から徒歩約25分の場所に位置しています。

参考文献

山岸常人「住宅風の空間をもつ真宗本堂」『週刊朝日百科 日本の国宝 別冊国宝と歴史の旅2 仏堂の空間と儀式』所収、朝日新聞社、1999

外部リンク

高山教務所 照蓮寺 - 中野照蓮寺の説明。

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