王保

王保（おう ほ、生没年不詳）は、明代の軍人であり、楡林衛を本貫とします。

生涯

王保は、その抜きん出た勇猛さで兵士から身を起こし、功績を重ねて延綏参将となりました。万暦16年（1588年）には、延綏・定辺副総兵に転じ、万暦19年（1591年）冬には、署都督僉事に抜擢され、昌平総兵官に任じられました。その後、山西総兵官を経て、薊州鎮総兵官の張邦奇が弾劾を受けると、後任として薊州鎮総兵官に任命されました。

当時の情勢として、朶顔衛の長昂は、かつて張臣が薊州鎮に駐屯していた際に明に帰順していましたが、5、6年後に再び石門路、木馬峪、花場峪に侵攻し、さらには銀燈とともに山海関を攻撃しました。張邦奇は、互市を拡大するという偽りの条件で講和を提案し、朶顔衛の通事25人を誘い出して殺害しました。これに対し、長昂は大青山に侵攻。長昂の仲間である小郎児らが喜峰口に潜伏し、偵察兵を射殺しました。しかし、王保が迅速に到着し、小郎児を捕らえました。長昂は小郎児に大きく依存していたため、恐れて謝罪し、拉致していた人々や家畜を返還しました。王保は小郎児を釈放して帰し、長昂は五貢に任じられ、辺境の官吏は二賞を受け、互市は元の通りに再開されました。この功績により、王保は署都督同知に進み、副将の張守愚以下も官位を進められました。

薊州鎮の三協南営の兵は、かつて戚継光が徴募した兵たちでした。彼らは豊臣秀吉の第一次朝鮮侵攻（文禄の役）に対応するため朝鮮に派遣され、帰還時に石門で騒ぎ立て、一ヶ月以上も饗応を受けました。王保は彼らを演武場に誘い出し、襲撃して数百人を殺害し、その謀反を奏聞しました。しかし、給事中の戴士衡と御史の汪以時は、南営の兵に反乱の事実はなく、王保が勝手に攻撃したと主張し、審問官の派遣を要求しました。巡関御史の馬文卿は王保を擁護し、南営の兵には大逆の罪が十もあると主張。尚書の石星もこれに同調し、反乱を鎮圧した功績として王保の官位は都督同知に昇進し、子には官位が与えられました。督撫の孫鑛や李頤も官位を進められ、当時の世論も王保を支持しました。

万暦23年（1595年）の冬、順義王チュルゲの弟である趕兎が、三軍を率いて白馬関と東西台に侵入しましたが、守備の徐光啓と副将の李芳春、戴延春によって撃退されました。万暦24年（1596年）の秋には、趕兎が部長の倒布とともに黒谷頂に侵攻しましたが、これも敗退しました。王保は趕兎の再侵攻を予期して、開連口と横河口に軍を分散配置しました。趕兎が横河に侵攻すると、明軍は夜半に石塘嶺に急進し、その陣営を襲撃しました。趕兎の軍は混乱して潰走し、明軍は勢いに乗じて塞外まで追撃しました。その冬、趕兎は羅文峪に進攻しましたが、これも敗れて退却しました。

その後、王保は董一元の後任として遼東に駐屯しました。豊臣秀吉の第二次朝鮮侵攻（慶長の役）が起こると、王保は海防を命じられ、海州で亡くなりました。その功績を称えられ、左都督の位を追贈されました。

子女

王学書（宣府総兵官。退官後に郷里にいたところ、楡林城が李自成の攻撃を受けたため、抵抗して死没）
王学詩（副総兵）
王学礼（副総兵）

参考文献

『明史』巻239 列伝第127

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