王頎

王頎（おう き、生没年不詳）は、三国時代の魏に仕えた武将で、字を孔碩（こうせき）といい、本貫は東萊郡である。その生涯は、魏の主要な出来事と深く関わっている。

正始年間、王頎は玄菟太守に任命され、その能力を発揮し始めた。正始6年（245年）、毌丘倹（かんきゅうけん）の命を受け、高句麗王の憂位居（ゆういきょ）を追討するため、遠征を行った。この遠征は、沃沮（よくそ）を過ぎてさらに1000里に及び、粛慎（しゅくしん）の南境にまで到達したという。この遠征の功績を記念して、石にその業績が刻まれた。

正始8年（247年）、王頎は帯方太守に着任した。この時期、王頎は周辺諸国との外交にも力を注ぎ、塞曹掾史（さいそうえんし）の張政（ちょうせい）らを倭国に派遣した。この派遣の目的は、倭国内で対立していた邪馬台国（やまたいこく）と狗奴国（くなこく）の和解を促すことにあった。この外交努力は、当時の国際関係において重要な役割を果たしたと推測される。

景元年間には、王頎は天水太守となった。景元4年（263年）、魏が蜀漢（しょくかん）を討伐する際、王頎は鄧艾（とうがい）の指揮下に入り、戦場での武功を上げた。彼は、沓中（とうちゅう）に駐屯していた蜀漢の将軍、姜維（きょうい）の軍営を攻撃し、さらに彊川（きょうせん）で姜維を追撃して破るという戦果を挙げた。この戦役における彼の貢献は、魏の蜀漢攻略に大きく貢献した。

その後、晋の武帝の時代になると、王頎は汝南太守に任じられた。この頃には、魏から晋へと時代が移り変わり、王頎は新たな王朝の下で引き続き地方官として活躍した。

王頎の孫には王弥（おうび）がおり、彼の血筋は後世にも受け継がれていった。王弥もまた、歴史に名を残す人物である。

王頎の生涯は、魏の興亡と密接に結びついており、彼の活動は三国時代の国際関係や軍事、行政の一端を垣間見ることができる。特に、高句麗、倭国との外交、蜀漢との戦いにおける彼の役割は、当時の政治情勢や軍事戦略を理解する上で非常に重要であると言える。

参考文献

今鷹真・小南一郎 訳『正史三国志4 魏書IV』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、1993年。
石原道博 訳『新訂魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝』岩波書店〈岩波文庫〉、1951年。
* 『晋書』（中華書局、1974年）

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