王鳳 (前漢)

王鳳（おう ほう）

王鳳（生年不詳 - 紀元前22年）は、前漢後期の政治家です。字は孝卿（こうけい）。魏郡元城県委粟里（現在の河南省安陽市一帯）の出身です。

生涯

王鳳の同母妹である王政君は、皇太子（後の元帝）の側室となり、後の成帝を産みました。このことから、王氏一族は急速に台頭し、高い地位と権力を手に入れることになります。

王鳳は、父である王禁の死後、陽平侯の地位を継承し、衛尉・侍中にも任じられました。元帝が崩御し、成帝が即位すると、王政君は皇太后となり、王鳳は大司馬・大将軍・領尚書事という、霍光に匹敵する重職に就任しました。これは、若年の皇帝を補佐する摂政のような役割でした。

河平2年（紀元前27年）には、王鳳・王政君の異母弟である王譚、王商、王立、王根、王逢時の5人が列侯に封じられ、「五侯」と呼ばれました。兄弟の中で列侯にならなかったのは、既に亡くなっていた王曼のみでした（王曼の子が王莽です）。また、安成侯となった王崇もいました。王氏一族はこぞって朝廷で要職を占めました。

王鳳は政治の実権を掌握し、成帝も彼に敬意を払い、重要な決定は王鳳に相談なしに行うことはありませんでした。しかし、成帝は内心では王鳳の専横を快く思っていなかったようです。丞相の王商（宣帝の母方の親族）は、王鳳と対立しましたが失脚させられ、王鳳を排除しようとした京兆尹の王章も逆に獄死させられるなど、政敵を容赦なく排除し、自らの地位を盤石なものとしました。

大臣たちは王氏一族を恐れ、太守や刺史などの地方官にも王氏の関係者を多数送り込みました。王鳳の庶弟である「五侯」は、その贅沢ぶりで悪名を馳せ、その様子は民間で歌われるほどでした。

陽朔3年（紀元前22年）8月、王鳳は後継者として、奢侈で評判が悪く、自身とも不仲だった弟の王譚ではなく、従弟にあたる御史大夫の王音を指名し、「五侯」を用いないよう成帝に遺言して病死しました。

王鳳の葬儀には、皇帝自らが参列するという異例の扱いを受け、敬成侯と諡されました。陽平侯は子の王襄が継ぎました。王襄は鴻嘉元年（紀元前20年）に衛尉、永始2年（紀元前15年）に太僕となりました。陽平侯はその後、王襄の子の王岑、その子の王莫へと受け継がれましたが、王莫の代に兵士に殺害され、断絶しました。

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