珍島郡
珍島郡（チンドぐん）
珍島郡は、大韓民国全羅南道の南西部に位置する郡で、珍島本島とその周辺の島々から構成されています。風光明媚な多島海の景観と、豊かな文化、歴史が息づく地域です。
地理
珍島郡は、本島である珍島（体島）をはじめ、有人島45、無人島185、合計230の島々からなっています。本島の西南約10kmには、上鳥島と下鳥島があり、その周辺には観梅島、大馬島など、多数の小島が点在しています。これらの島々を含む海域は、多島海海上国立公園に指定されており、美しい自然が保護されています。また、本島の西北約5kmにある加沙島は、約400人が暮らす大きな島で、漁業が盛んです。郡の東側は海を隔てて海南[[郡]]と接しており、珍島の東北端は、本土との距離が最も近い場所で、鳴梁海峡となっています。この海峡には珍島大橋が架けられており、珍島と本土を結ぶ唯一の陸路となっています。北側には新安[[郡]]の島々が広がっています。
歴史
珍島郡は、古くは百済時代に「因珍島郡」と呼ばれていました。新羅時代には武珍州に属し、珍島県が置かれました。高麗時代には珍島郡が設置され、1270年には三別抄がモンゴルに抗戦する拠点となりました。しかし、1350年には倭寇の侵入を受け、住民は本土に避難、高麗王朝は島を放棄しました。その後、朝鮮王朝によって1437年に珍島郡が再設置され、1597年には鳴梁海戦の舞台となりました。1895年の地方制度改革では、本土の一部を含む17面を管轄する郡となりましたが、1906年には本土の一部が他の郡に編入されました。1914年の郡面併合により、都草面が務安[[郡]]に編入され、現在の7面体制が確立しました。その後、いくつかの行政区画の変更を経て、現在に至ります。1984年には珍島大橋が開通し、陸路でのアクセスが可能となりました。近年では、2014年のセウォル号沈没事故や2021年の集中豪雨による被害が発生しました。
行政
珍島郡の郡庁舎は、珍島の中央部にある珍島邑に位置しています。郡は1邑6面から構成されており、郡守は朴連洙氏です。珍島本島には1邑5面が置かれており、離島部を管轄する鳥島面は下鳥島に面事務所があります。
警察・消防
- - 珍島警察署
- - 海南消防署 珍島119安全センター
交通
道路
鳴梁海峡に架かる珍島大橋が、珍島と本土を結ぶ唯一の陸上交通路です。国道18号が通っています。
港湾
珍島からは、周辺の島々への遊覧船が発着しています。碧波港が主な港です。
特産物
珍島郡は、特産品も豊富です。珍島犬、珍島枸杞子（クコ）、珍島藿（岩ワカメ）は「珍島三宝」と呼ばれ、珍島民謡、珍島書画、珍島紅酒（芝草酒）は「珍島三楽」として知られています。
観光
珍島郡には、自然や文化を楽しめる観光スポットが数多くあります。
- - 珍島の海割れ（霊登祝祭）: 毎年5月の大潮の時期に、珍島南東部の回洞里と茅島の間に出現する2.8kmの砂州は、神秘的な光景として有名です。日本では天童よしみさんの楽曲「珍島物語」でも知られています。
- - 多島海海上国立公園: 郡の南西部に広がる多島海の島々と、珍島の一部が国立公園に指定されています。奇岩の島々を巡る遊覧船が人気です。
- - 金骨山: 標高193mの奇岩の山で、ハイキングが楽しめます。
- - 佳界海水浴場: 美しい砂浜が広がる海水浴場です。
- - 双渓寺: 歴史ある寺院です。
- - 珍島郷校: かつての教育機関の跡です。
- - 南桃石城: 古代の城跡です。
施設
- - 国立南道国楽院: 国立国楽院の所属機関で、珍島アリランをはじめとする南道地方の伝統音楽が継承されています。
- - 小痴記念館: 朝鮮王朝後期の南画家、許錬（小痴）の記念館で、雲林山房も併設されています。珍島は、多くの画家や書家を輩出した土地としても知られています。
- - 珍島歴史展示館: 珍島の歴史を紹介する展示施設です。
不祥事
2019年9月には、海ゴミ問題への関心を高めるために開催されたイベントで、珍島郡役所側が事前にゴミを海岸に置いていたことが発覚し、批判を受けました。
姉妹区
珍島郡は、韓国国内の以下の自治体と姉妹提携を結んでいます。
著名な出身者
珍島郡は、多くの著名な人物を輩出しています。
珍島郡は、その美しい自然と豊かな文化、そして歴史的な背景を持つ魅力的な場所です。
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