登石雋一

登石雋一（といし しゅんいち）

概要

登石雋一（1932年3月7日 - 2012年9月11日）は、日本の映画プロデューサー、映画会社経営者、俳優です。東映東京撮影所でキャリアをスタートし、進行主任、企画者として活躍しました。その後、東映の人事部長、取締役企画製作部長・経営企画室長を歴任し、東映動画（現：東映アニメーション）と東映化学工業（現：東映ラボ・テック）の代表取締役社長も務めました。本業の傍ら、映画や演劇にも俳優として出演し、「十石峻（といし しゅん）」の別名も持ちます。

生涯

1932年、東京府（現：東京都）に生まれた登石は、1951年に東京大学法学部へ進学。在学中は東大演劇研究会で演劇活動に励み、梶谷典子、成島庸夫、田村孟、三善晃、渡辺守章らと親交を深めました。1955年に大学卒業後、東映に定期採用第4期生として入社。

本社文書課を経て撮影所製作課に異動し、進行担当として『大いなる驀進』や『恋と太陽とギャング』などの作品に携わりました。その後、企画部に異動し、『東京丸の内』では企画者としてクレジットされました。1963年からは『警視庁物語』シリーズの企画にも参加し、斉藤安代とともに同シリーズを牽引しました。

1971年、東映動画は累積赤字3億円を抱える経営難に陥っていました。東映社長の岡田茂は、その立て直しを登石に託します。登石は東映動画の代表取締役社長に就任すると、岡田からリストラを命じられます。登石は「東映からの出向では中途半端になる」と考え、東映を辞めて東映動画に専念することを決意。大幅な人員削減などの徹底した改革を行い、労組との激しい対立を経て、東映動画の経営再建に成功しました。1973年には『パンダの大冒険』を製作するなど、アニメーション作品の製作にも力を注ぎました。

東映動画の再建後、登石は東映本社の取締役企画製作部長・経営企画室長に就任。重役として、岡田茂の側近として活躍しました。しかし、東映動画での激務が原因で体調を崩し、第一線を退くことになります。その後、東映関係会社の東映化学工業（現：東映ラボ・テック）の専務取締役、そして代表取締役社長に就任しました。

俳優としては、東大演劇同窓会の舞台公演に積極的に参加し、シェイクスピア劇などで数々の役を演じました。映画では、『わが青春のイレブン』や『ダイアモンドは傷つかない』に出演しました。

1998年には日本映画テレビ技術協会から春木賞を受賞。2001年に東映化学工業社長を退任し、2007年に日本映画テレビプロデューサー協会を退会しました。晩年まで演劇活動を続け、2012年4月の東大演劇同窓会公演『夏の夜の夢』にも出演。その5ヶ月後の2012年9月11日、腎細胞癌のため80歳で亡くなりました。

フィルモグラフィー（主な作品）

進行主任
『大いなる驀進』（1960年）
『恋と太陽とギャング』（1962年）
企画
『東京丸の内』（1962年）
『暴力街』（1963年）
『警視庁物語 全国縦断捜査』（1963年）
『鬼検事』（1963年）
『東京ギャング対香港ギャング』（1964年）
『警視庁物語 自供』（1964年）
『東京アンタッチャブル 売春地下組織』（1964年）
『夢のハワイで盆踊り』（1964年）
『警視庁物語 行方不明』（1964年）
製作
『パンダの大冒険』（1973年）
『マジンガーZ対デビルマン』（1973年）
『きかんしゃやえもん D51の大冒険』（1974年）
『マジンガーZ対暗黒大将軍』（1974年）
出演
『わが青春のイレブン』（1979年）
『ダイアモンドは傷つかない』（1982年）

テアトログラフィー（主な舞台出演）

『はっぴいえんど』（1977年）
『旅路の果て』（1985年）脚本・監修も担当
『女の議会』（1990年）
『冬物語』（1995年）
『尺には尺を』（1997年）
『終わりよければすべてよし』（1999年、2000年）
『怪盗マック』（2001年）
『お気に召すまま』（2003年、2004年）
『ウィンザーの陽気な女房たち』（2006年）
『十二夜』（2008年）
『から騒ぎ』（2009年）
『夏の夜の夢』（2012年）

書籍・論文

「巻頭随想」『映画テレビ技術』第381号（1984年）
「我等の生涯の最良の映画 25 観客に訴える"心"を注入『暴力街』」『キネマ旬報』第910号（1985年）
「前夜討論会・学会印象記」『日本精神病院協会雑誌』第9巻第6号（1990年）
「巻頭随想」『映画テレビ技術』第463号（1991年）

関連人物

岡田茂 (東映社長)
斉藤安代（企画者）
梶谷典子（東大演劇研究会同期）
成島庸夫（東大演劇研究会同期）
田村孟（東大演劇研究会同期）
三善晃（東大演劇研究会同期）
渡辺守章（東大演劇研究会同期）

参考文献

渡辺泰・山口且訓『日本アニメーション映画史』有文社、1978年。
『キネマ旬報』第766号、キネマ旬報社、1979年。
『年刊 人物情報事典'81』、日外アソシエーツ、1981年。
文化通信社編『映画界のドン 岡田茂の活動屋人生』ヤマハミュージックメディア、2012年。

外部リンク

Shun'ichi Toishi - IMDb（英語）
登石雋一 - KINENOTE
登石雋一 - allcinema
登石隻一 - 日本映画データベース
登石雋一、登石儁一 - 東京国立近代美術館フィルムセンター
登石雋一 - 文化庁日本映画情報システム

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