白骨温泉

白骨温泉

長野県松本市安曇に位置する白骨温泉は、北アルプス乗鞍岳の山麓、標高約1400mの中部山岳国立公園内にあります。国民保養[[温泉地]]にも指定されており、豊かな自然に囲まれた静かな環境が魅力です。

泉質

白骨温泉の泉質は、主に以下の2種類です。

単純硫化水素泉
含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉（硫化水素型）

これらの泉質は、胃腸病、神経症、婦人病、慢性疲労などに効果があるとされ、古くから「白骨の湯に三日入ると三年は風邪をひかない」と言い伝えられてきました。

湧出時は無色透明ですが、時間経過とともに白濁するのが特徴です。これは、温泉水に含まれる硫化水素から硫黄粒子が析出することと、重炭酸カルシウムが分解して炭酸カルシウムに変化するためです。浴槽の淵には、白い炭酸カルシウムの固形物が付着していることもあります。

温泉街

白骨温泉は、乗鞍岳、十石岳、霞沢岳の麓に位置する山峡にあり、近くには上高地や乗鞍高原があります。温泉街の中心部は、県道白骨温泉線の終点付近にある観光案内所周辺です。梓川のせせらぎが心地よく、夜には美しい星空を眺めることができます。

10軒強の宿のほか、共同野天風呂、食事処、土産物店などが数軒ある程度で、静かで落ち着いた雰囲気が特徴です。賑やかな温泉街というよりは、ひっそりとした佇まいが魅力です。付近には、竜神の滝、冠水渓、特別天然記念物「噴湯丘」などの観光名所もあります。

温泉地の「白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石」は、1922年に国の天然記念物、1952年には国の特別天然記念物に指定されています。

歴史

白骨温泉は、鎌倉時代には既に湧出していたと伝えられ、戦国時代には武田信玄も湯治に利用したとされています。江戸時代には、齋藤孫左衛門によって温泉宿として本格的に開かれました。地理的に閉鎖的な環境のため、現在も齋藤姓が多く、地縁・血縁による独特のつながりが残っています。

「白骨」または「白船」と呼ばれていましたが、大正時代に中里介山の小説『大菩薩峠』で白骨温泉として紹介されて以降、この名称が定着しました。明治以降、河東碧梧桐、若山牧水、斎藤茂吉、与謝野晶子、三好達治など多くの文人にも愛され、秘湯としてその名を馳せています。

1974年3月30日には、国民保養[[温泉地]]に指定されました。

入浴剤の添加事件

2004年7月、一部の施設で入浴剤を混入し、白濁を偽装していた事件が発覚しました。これは、源泉の白濁が薄くなったことが原因でした。この事件は、日本中で温泉表示に関する問題が発覚するきっかけとなり、大きく報道されました。

偽装発覚後、日帰り共同浴場の「野天風呂」は一時閉鎖されましたが、2005年4月28日に営業を再開しました。この事件を教訓に、長野県庁は「温泉の信頼回復」を目指し、「安心・安全・正直」な信州の温泉表示認証制度を創設しました。

アクセス

自動車：国道158号線から県道、または上高地乗鞍スーパー林道を利用。
路線バス：アルピコ交通上高地線新島々駅からバスで約60分。

白骨温泉は、豊かな自然と歴史に彩られた温泉地です。静かな環境で、ゆっくりと温泉を楽しみたい方におすすめです。

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